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ナオ:ああ、うんざり!この世界にはうんざりだ! …ああ、世界を思うように創造したいや。神様に頼めばいいのかな。まず、神様に会えるわけないんだけどね! (ピンポーン) ナオ:あっ誰か来た。はーい。 (ガチャ) ゴウ:どうも。 ナオ:知らない人だ。誰ですか? ゴウ:神様です。 ナオ:神様来ちゃった!玄関から堂々と! ゴウ:神様は礼儀正しいんだよ。 ナオ:本当にそうだね。でも、本当に神様なんですか? ゴウ:あ、ごめん、証明しないとね………はい、免許証。 ナオ:えっ、神様って免許なの!? ゴウ:そんなもんだよ世の中。 ナオ:そうなんだ………まあいいや。さあさ、どうぞあがってくださいな。 ゴウ:では失礼して。 ナオ:それで、神様に頼みがあるんですけど。 ゴウ:遠慮なくどうぞ。 ナオ:えっと…たぶん無理だと思うんですけど、僕の思うように世界を創造してもいいですか? ゴウ:いいよ。 ナオ:いいんだ!二つ返事で了承してくれた!このあっさり感、逆に気を使うよ! ゴウ:神様はとても人がいいんだよ。 ナオ:本当にそうだね。人じゃないけどね。 ゴウ:それで、どんな世界にしたいんだ? ナオ:ええっ、そうだなあ………こんな急に決まると思わなかったから、全然決めてなかったな。 ゴウ:なんでも構わないが。 ナオ:うーん………なら、憧れの成美ちゃんに、バレンタインデーで何かもらえる世界、とか……さすがに個人的すぎるかな。 ゴウ:いいよ。 ナオ:いいんだ!半分冗談だったのに!逆に困っちゃうかも! ゴウ:(ピッ)よし、できた。 ナオ:しかもスイッチ1つで創造しちゃった!そんな簡単になるもんなんだ! (ピンポーン) ナオ:あっ誰か来た。まさか…… (ガチャ) 成美:こんにちは、ナオくん。 ナオ:うわあ、成美ちゃん!成美ちゃんが僕の家に来たよ! 成美:ナオくん、あのね……バレンタインのプレゼント、持ってきたの。 ナオ:ほ、ほんとにもらえちゃった!うれしいけど、今は7月だよ! 成美:…はい、現金5000円。 ナオ:って現金なの!?確かに「何か」としか言わなかったけど! 成美:はい、神様にも。 ゴウ:かたじけない。 ナオ:…えっ、なんで神様までもらってるのさ! ゴウ:だって私もプレゼント欲しかったから…………私にももらえるようにしちゃったよ! ナオ:もう神様ったら、お茶目さんっ。 二人:あはははははは! ナオ:…いや、でも現金って!てっきり手作りのお菓子でももらえるのかと思ってたよ! 成美:ナオくん、よく見てよ。これ、手作りのお札よ! ナオ:偽札だよ!法律犯しちゃってるからそれ! ゴウ:…ふう。これで望みは叶いましたか。 ナオ:いや、あの…叶ったといえば叶ったんですけど、何か違うというか………出来れば、もっと別に世界を変えたいんですけど。 ゴウ:いいよ。 ナオ:いいんだ!またすんなりと! ゴウ:神様は、一度受けた願いは何度でも叶えるものなんだよ。 ナオ:まったく、アフターサービスがしっかりしてるなあ! ゴウ:それで、どんな世界にしたいんだ? ナオ:えっと………どうしよう、なんとなくは分かるんだけど、明確には分からないや。 ゴウ:それなら、あなたがこの世界に不満に思うところを言えばいい。それがない世界ならば、あなたの望む世界のはず。 ナオ:あ、神様、頭いい! ゴウ:…私が頭がいいことが不満か……。 ナオ:え?…………いやいやいや!そういうことじゃないよ!その発言はかかってるところが違うよ! ゴウ:よし、スイッチ1つで簡単創造!(ピッ) ナオ:ああ、創造しちゃった!とっても簡単! ゴウ:あっひゃー!はほはーっ!ばばばばー! ナオ:うわ!神様アホになった!典型的すぎるアホになった! ゴウ:アホじゃないよー!アホだよあははー! ナオ:うわあ、アホの子だ!どうしよう…… 成美:ほんと、困ったわね。 ナオ:あ、まだいたんだ。 成美:いるわよ。………そうだ、神様が持ってるこのスイッチで、世界を創造し直せばいいんだわ。 ナオ:なるほど!でも上手くいくかなあ。 成美:よし、とりあえず押してみましょう(ピッ) ナオ:………どう? ゴウ:……あーばばー!ぱー! ナオ:ああ、神様、アホのままだ! 成美:ほんとだわ、どうしてかしら。 (ピンポーン) ナオ:あっ誰か来た。はーい。 (ガチャ) 宅配:こんちわー、ピザの宅配です! ナオ:えっ……いや、頼んでないんですけど。 ゴウ:…ピザー!ピザあぱー!!(ばくばく) ナオ:あっ、神様ピザ食い始めた!ちょっと神様! 成美:………分かったわ。 ナオ:えっ、何がだい? 成美:本物と比べてちょっと肖像画の位置がずれていたわ……… ナオ:……あっ、偽札の話か!びっくりした………ってなんで今その話だよ! 成美:それから、このスイッチを押したら、神様が思った世界しか創造できないみたいね。 ナオ:重要なことをあっさりと!……えっ、つまりどういうこと? 成美:つまり…………神様は、ピザが食べたいと思っていたのよ!!(ズバーン!) ナオ:そんなすごい効果音と共に言われても!神様の食いしん坊めっ! ゴウ:ばー!? 成美:こうなったら………もう一回押すしかないわね(ピッ) ナオ:あっまた押しちゃった! (ピンポーン) ナオ:あっ誰か来た。はーい。 (ガチャ) 隣の:どうもこんにちは。 ナオ:あっ隣のおばさん!こんにちは! 隣の:実はね、親戚からメロンが送ってきたんだけど、食べ切れなくて。おすそわけするわ。 ナオ:うわあ、ありがとうございます! ゴウ:…メロン!メロンあぱー!!(ばくばく) ナオ:あっ神様、メロン食い始めた!ちょっと神様! 成美:………分かったわ。 ナオ:…何がだい? 成美:つまり……… 二人:神様は、メロンが食べたいと思っていた!!(ズバーン!) 成美:重ねてきたわね。 ナオ:いや、読めるよ!さすがに読めるよもう! 成美:…しかし、これでは元に戻らないわね。 宅配:ほんと、困ったなあ。 隣の:ほんとね。 ナオ:って、あんたらまだいたのかよ!なにみんな、この家に来たら「帰る」ということを忘れちゃうの?そういう力がある家なの、ここって!? 成美:そうよ。 ナオ:そうなのかよ!知らなかったー! 成美:それより、神様がアホのままだと大変だわ。早く戻さないと! ナオ:でも、どうすればいいか……スイッチを押しても無駄だし……… 成美:うーん…………とりあえず、もう1回押してみましょう(ピッ) ナオ:あっ方法変えないんだ!なんかちょっと楽しんでない? (ピンポーン) ナオ:あっ誰か来た。はーい。 (ガチャ) DM:ハーイカモーン!(ぐにっぐにっ) ナオ:いや、誰だよ!なんかすごいリズムで腰をうねらせてるけど! 成美:あなたは……ダンシングマン!! ナオ:ダ、ダンシングマンだって!?………………いや、やっぱ知らないよ!本気で誰だよ! DM:そんなことより、私のダンスをみなサーイ!!(ぐにっぐにっ) ナオ:まずそれ、ダンスなのかよ!?すごいうねりなのは認めるけど! ゴウ:きゃはー!ダンシングマンきゃはー!! ナオ:あっ神様がむっちゃ喜んでる!どういうことだよ! 成美:………分かったわ。 ナオ:…な、何がだい? 成美:つまり………神様は余興に…って重ねてきなさいよ!! ナオ:……いや、今回のはわかんなかったよ!まずダンシングマンの存在を飲み込めてないんだよ! DM:でもキミ、ダンスの飲み込みは早そうダネ!!さあ、踊ってみないカ!?(ぐにっぐにっ) ナオ:踊らないよ!てかダンスとして認めてないよその動きは!うねりがすごいのは認めるけど! ……ってか何、神様は余興のためにダンシングマンを呼んだの? 成美:そのようね。 ナオ:えーっ………呼ぶにしても、なんか、なあ…… ゴウ:ばばー? 成美:しかし、これはおもしろくなってきたわ………よし(ピッ) ナオ:また押した!確実に楽しんでるよね!? (ピンポーン) ナオ:また誰か来た。はーい。 (ガチャ) DM2:ハーイカモーン!(ぐにっぐにっ) ナオ:また来たよ!また来たよなんか!! 成美:なるほど、まだまだ余興としては満足ではなかったようね……… DM:ハッハッハ兄弟!来てくれてうれしいぞ!(ぐにっぐにっ) DM2:まったくだ兄弟!(ぐにっぐにっ) ナオ:もうなんなんだよその腰のうねり!まず、なんでこんなんが2人もいるんだよ! DM2:イヤイヤ、あと100人ほど外で待機してマスヨ? ナオ:こんなんが100人もいるのかよ!……ってか来てるのここに!?100人も!?……なんで!? 成美:…それはたぶん、私が影でスイッチを連打していたからね。 ナオ:原因はっきりしてたああー!!なにしてるんだよ! 成美:それはもうすごい勢いで…ね。 ナオ:勢いに関しては知らないよ!どうするんだよこれ……まず神様もこんなんばっかり欲しがるなよ! DM2:まあまあ、とにかく踊ろうジャナイカー!(ぐにっぐにっ) DM達:ハッハッハー(ぐにっぐにっ) ナオ:うわっ腰のうねりの破壊力が増している!100人って半端ない! 成美:しかし…これは大変ね……… ナオ:何が…?もう、十分大変なことにはなってるけど。 成美:この家には、来た人に「帰る」ということを忘れさせる力がある……… ナオ:あっ、そういえばそうだったね………えっ!てことは…こいつら100人、帰らないの!? 成美:そういうことになるわね。 ナオ:そんなっ!?どうすればいいんだよ…… 成美:うーん……仕方ないわね(ガコン) DM達:ア〜〜レ〜〜(ひゅーん) ナオ:…いや今のなに!?成美ちゃんがなにかしらのレバーを引いたら、床が開いてダンシングマン達が落ちていったけど!? 成美:こういうこともあろうかと、そういう仕組みにしておいたのよ。 ナオ:なんかいろいろとツッコみたいけど……一番はここ、僕の家だからね!なんで勝手に改造されてんだよ! ゴウ:ばはははは!あーははははは!! ナオ:……あっ、なんか神様めっちゃ喜んでる!この世の終わりみたいに笑ってる! 成美:なるほど、ダンシングマン100人衆が落ちるシーンが余興としてウケたみたいね。 ナオ:また犠牲の多い余興だなあ。 成美:…さあ、次なる欲望は何かしら(ピッ) ナオ:ってまた押すんだ!ちょっとサディスティックな部分が垣間見えるよ! 成美:…………あれ、誰も来ないわね。 ナオ:誰か来るの前提なんだ。 ゴウ:……ばーぱ!ぱぱーい!(ぐにゅっ) 成美:ひぃやっ!! ナオ:成美ちゃんっ!! 成美:ひゃあぁぁぁ……神様が急に私に飛びかかってきて、顔をぐりぐりしてきてそのまま抱きついて離れないわ!! ナオ:成美ちゃん、こんな大変なときに詳しい状況説明ありがとう! ゴウ:…ぱぴぱーい!(ぐにぐに) 成美:きゃあっ、ヘンタイよっ!ヘンタイという名の神様よ!! ナオ:なんなのそれ!確かに神様ではあるけど! ゴウ:あぱぱーひー!(ぐにぐに) 成美:ひゃっやめて!離して…! ゴウ:あひゃぱぱーい!(ぐにぐに) ナオ:…………やめろおおおおお!!(バシッ!) ゴウ:ぎゃふっ!! 成美:な、ナオくん…!神様にそんなことしたら、天罰下っちゃうわよ…… ナオ:そんなのどうだっていいよ!! 成美:えっ…… ナオ:そんなこと…成美ちゃんがひどい目にあうことに比べたら……… 成美:………ナオくん…! ナオ:成美ちゃん……………実は、僕…… 成美:……言わなくていいよ。 ナオ:えっ……? 成美:だって私も……ナオくんと同じ気持ちだから……… ナオ:な、成美ちゃん………!(ガバッ) 成美:ちょ、ちょっと……これじゃあさっきの神様と同じじゃないの… ナオ:ごめん、でも………うれしかったから… 隣の:あらあら、若いっていいわねえ! ナオ:………っていたの!?いたの隣のおばさん!?さっき床ガコッて開いたのに! 成美:あ、それはね…ダンシングマンだけ落ちるように、上手いこと設定してたのよ。 ナオ:すごいなそれ!どんな仕組みだよ! 宅配:あはは、ほんとにあの時は、落ちちゃうかと思ったよー! ナオ:宅配のあんたも無事か!!あんたに関しては、早く仕事に戻れよ! 宅配:そうだな、そうするか。 隣の:じゃあじゃあ、私も失礼するわね。 成美:あ、私もそろそろ帰るわ…… ナオ:いや、みんな帰れるんかい!しかもまた、なんで一度に帰っちゃうんだよ!ちょっと郷愁! 成美:…あっ、ナオくん! ナオ:………なに? 成美:あの…………ありがとうね。 ナオ:……いや、こちらこそ。 成美:…じゃあね!また明日! ナオ:うん、じゃあね! (ガチャ) ナオ:ふう……… ゴウ:………よかったですね。 ナオ:あっ神様!なんだ、普通に喋れたんだ! ゴウ:あなたと成美さんが結ばれる………それが、あなたの望んだ世界でしょう? ナオ:あっ…本当だ!神様、それを分かって…… ゴウ:……末永く、お幸せに。 ナオ:は、はい、ありがとうございました!…………あっ、でも神様、実はピザとかメロンとか食べたかったんでしょ? ゴウ:…はは、バレたか! ナオ:もう神様ったら、お茶目さんっ。 二人:あはは!あはは!あはははははは! (ピンポーン) ナオ:あ、また誰か来た。はーい。 (ガチャ) 警察:警察の者ですが………あっ、あなたですね。 ゴウ:……私ですか? 警察:いやね、あなた、女子高生の胸をまさぐるというセクハラ行為を行ったということで……… ゴウ:えっ………いや、あれは酔っ払ってて、というかそんな感じの状態に陥っててですね、あの! 警察:署まで、ご同行願います。 ゴウ:ちょっ………は、離せ!離せえええ!!…私は神様だぞ!天罰下るぞおおお!! ナオ:そうか、僕が望んだ世界は…………神のいない世界、だったのかな…… 警察:あ、それからあなたも。偽札所持の罪で、署までご同行願います。 ナオ:え、えーっ……… |
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