モダンカメハメハ

コント/友達の見送り

飯尾：びっくりしたよ。
朝倉：そう・・・だよな。突然だったからな。
飯尾：お前、家族を置いて先に旅立つんだよな。
朝倉：そうだよ！理解できないよ！いきなり「ご臨終です」って言われるんだもん。
飯尾：普通は、「今日が山です」って言われて、それを乗り越えてこそ闘病なんだから。
朝倉：山を登る前に横道にそれたよ！
飯尾：でも、お前の友達が大好きだった彦野選手のユニフォームを棺に入れてくれるって。
朝倉：結局灰になるんだぞ！？いいのか？
飯尾：だって、ユニフォームはお前のものだから。
朝倉：俺のものだったとしてもだ、俺たちの秘密基地に置いておくってことは考えなかったのか？
飯尾：選択肢は一切ないぜ？俺たち、ホームレスだもん。
朝倉：俺たちの人生ボロボロだな！人間の生活にマイナスになることしかやってねーじゃねーか！
飯尾：でも、90年代中盤はよかったよ。
朝倉：そうか・・・彦野の現役時代は90年代中盤だったもんな・・・って、馬鹿か！そこから離れろよ！見送りに来てもらってなんだけど、帰ってもらえるかな。この世に。
飯尾：お、俺だって家族に逃げられてるんだぜ！？
朝倉：今までのお前の生活を見てたら当然逃げられるわ！
飯尾：あ、そうなのか・・・。
朝倉：だから、俺の頭に血がのぼって、倒れて、今この状況に陥ってるんだよ！
飯尾：俺、今だから言う。ゴメン。
朝倉：手遅れだわ！もう、俺昇天してるんだぞ！？
飯尾：俺も、今日が山だから・・・。
朝倉：山なのかよ！
飯尾：おそらく、登山中。
朝倉：登って登って、結局最後はしぶとく生き残ってるんだろ？
飯尾：うーん・・・わからん。
朝倉：なぜだよ！お前はこんな逆境いろいろなかったことにしてきたじゃないか！
飯尾：・・・転移した。
朝倉：転移したのかよ！お前、幸福に逆行した生活送ってたから罰が当たったんじゃないのか？
飯尾：俺は無実やで！！
朝倉：有罪や！有罪！お前には罪しかないよ！あーあ、こんなやつ友達にしたくなかった。
飯尾：でも、そういいながら30年ともにしたんだよな。
朝倉：でもな、その間に数々の友人が不幸なことにあってるんだよ！
飯尾：何があったっけ。
朝倉：学年位置の秀才だった小野君。
飯尾：大崎？東大文１に首席で入学してったやつ？
朝倉：あいつは・・・銀行強盗事件の流れ弾に当たって俺より先に旅立ったよ！その時は皆で見送りに行ったじゃねーか！
飯尾：で、その時の犯人は・・・。
朝倉：野球部のエース渡辺だよ！
飯尾：いろいろ混ざり合ってるなおい！
朝倉：結局渡辺は懲役5年。
飯尾：5年後・・・交通事故で旅立ったんだよ！
朝倉：そうだよ！交通事故だよ！その時の同乗してたのが俺の小学校からの幼馴染だった黒木だよ！
飯尾：黒木・・・そんな奴いたな。
朝倉：空気か！学祭のリレーでアキレス腱痛めて号泣したあいつだよ！
飯尾：あぁ・・・あれは覚えてる。次の走者俺だったもん。
朝倉：一人200メートルだったけど、60メートルくらい走って歩き出したんだよな。
飯尾：歩いてた。で、担任にストップかけられて号泣したんだよな。
朝倉：黒木はそんなに足が速いわけじゃなかったけど、そこそこの走力はあったからね。
飯尾：で、小林はどうした？
朝倉：小林？関西圏に行ってから音信不通。
飯尾：そうか・・・音信不通か・・・。俺、元気になったらもう一度そいつに連絡してみるよ。
朝倉：まあ、いいか。じゃあ、俺は先に行くよ・・・。
飯尾：い、行かないでくれ！
朝倉：しょうがないだろ！時間だから。
飯尾：とりあえず、最後に言っておきたいことがある。
朝倉：どうした！？
飯尾：お前の家、後輩の益田が占拠してるぞ！
朝倉：さっさと帰れ！