あかつき

漫才/世界はイケメン



 前橋:どうもー!
 
宇都宮:今のアイドルは昔に比べて劣るだの品が無いだの言われてるけど、
    歌手の名前や年齢が歌詞に入ってる曲や、ただ寿司食えと言うだけの曲が売れてた昔も大概よね。
 
    でお馴染みのあかつきです。
 
 水戸:よろしくお願いしまーす。
 
 前橋:そんな批判した覚えがないんだけどね。まぁ頑張ってやってきましょう!
 
 水戸:あたし最近ハマってる物があるんだけど、卒塔婆を借りて言ってもいい?
 
 前橋:うーん、この場なら貸せるかな?ここお墓じゃないんで。
 
 水戸:実はね、イケメン探すのに凝ってるんだ。
 
 前橋:わーぉ!こっちまでテンション上がるマイブームだね!イケメン嫌いな女子はいないからね!
 
宇都宮:なんだか珍しい趣味ね。
 
 前橋:ねーねー!今イチオシは誰?誰?
 
 水戸:えーっとね、アゼルバイジャン。
 


 前橋:…………は?
 
 水戸:アゼルバイジャン。
 
 前橋:えーっと……あー……アゼルバイジャン……どこの国の人だろう……な、名前的にヨーロッパっぽいかな…?
 
宇都宮:中東ね。イランの隣国。
 
 前橋:え…?あ、その国生まれのイケメンがタイプなんだね!国名からして相当なイケメンだろーだなー!
    イランのお隣だからきっとダルビッシュみたいな感じなんだろーなー!
 
 水戸:アゼルバイジャンっていいよねー。なんと言っても濁点の数。3つだよ3つ!
    この力強さは他の国には出せないよ。
 
 前橋:思ってたのと全然違ってたーーーーー!!!!
    え!?そういうことなの!?イケメンってそういう観点なの!?
 
宇都宮:そうね、同じ濁点3つでもジンバブエやバングラデシュとは比較にならないイケメンぶりね。
    奴らの濁点は「つめたい」を「ぢみでぇ」と言っちゃうような田舎訛りに過ぎないから。
 
 前橋:なんか共鳴してるしーーー!!!
    え!?なんで通じ合うの!?目と目で通じ合えるのは工藤静香だけじゃないの!?
 
 水戸:そうそう!アゼルバイジャンって男らしいんだよね!
 
宇都宮:うーん、でもちょっとガテン系過ぎて私は苦手かな。
 
 前橋:この人たち、何言ってるか、ワタシ、ワカリマセーン。
 
宇都宮:イケメンって観点なら、私はリヒテンシュタインが好きかな。ほら、スマートなカッコよさがあるじゃない?
 
 水戸:あー、小さな皇帝・リヒテンシュタインとか目の付け所がいいね!
    孤高の天才・スイス、白き彗星・スロバキアと肩を並べる欧州中央御三家の一角だもんね!
 
 前橋:あのー、そういう初見に優しくない漠然とした異名を多用するのやめてもらえるかな?
    何言われてもまるでピンと来ないんだわ。
 
宇都宮:まーこのコは先のアゼルバイジャンとはまた違ったベクトルでイケメンだからねー。
 
 前橋:このコって言っちゃったよこの人。国家を我が子扱いだよ。
 
宇都宮:アゼルバイジャンがガテン系の筋肉イケメンなら、
    リヒテンシュタインは優男系の紳士イケメンってところかしら。
 
 前橋:あー…………今脳内で照英と川越シェフに置き換えたらちょっとわかった気もする。
    でも即座にこの2人が出てくる自分が嫌いだ。
 
 水戸:ねぇ、前橋はどんな国がイケメンだと思う?
 
 前橋:はい!?
 
宇都宮:そうね、イケメンと聞いて貴方が一番喜んでたし。
 
 前橋:や、だってあの時はまさか集合体について語るとは思ってなかったし!
 
 水戸:別にメジャーな国でもいいからさー。ガイアナとかエストニアとかセントクリストファー・ネイビスとか。
 
 前橋:もうこの時点で価値観のマリアナ海溝が出来てるよ!ウチ全部知らねーから!
 
宇都宮:あー、もしかしてあれか。前橋はマイナー派か。ボツワナとかルワンダとかアンティグア・バーブーダとか。
 
 前橋:うーん、もう全部ドマイナーにしか聞こえない!!
    でもまぁ……知ってる国から強いてイケメンっぽいのを挙げるとなると…
 
 水戸:となると……?
 
 前橋:……オ、オーストラリア?
 


 水戸:あー……いいと突くなぁ。
 
宇都宮:思いの外正統派ね。
 
 前橋:え、そうなの!?これ正統派なんだ!
 
 水戸:選んだ理由はー?
 
 前橋:えーと……ほ、ほら!グレートバリアリーフとかエアーズロックとか凄く綺麗だし言葉自体もイケメンじゃない?
 
 水戸:あーあ…やっちゃった。
 
宇都宮:地名以外を持ち込まないでくれる?私ら純粋にそれだけを楽しみたいんだわ。これだから素人は……
 
 前橋:なんかワケの分からない理由で叩かれてるんだけど!んなルール知ったこっちゃないし!
 
 水戸:で、でもオーストラリアはすごくイケメンだよ。ねぇ…?
 
宇都宮:まぁ音が完璧よね。ア行2つ、サ行2つ、ラ行2つと、とてもオシャレでスタイリッシュな配分。
 
 前橋:あのー、出来れば日本語でお願いしやす。
 
宇都宮:はぁ………「オシャレ」「スタイリッシュ」って言葉にも、ア行やサ行、ラ行が多用されてるでしょ?
    だから似た子音を持つオーストラリアも仲間なの。おわかり?
 
 前橋:もういいや。この辺で納得しないと深みにハマりそう。あーうんわかったー。
 
 水戸:それに「オース」「ストラ」「ラリア」どこで区切ってもカッコいいよね。
    これは並大抵の国ができることじゃないよ。
 
 前橋:ウチはそんなの考えた事もないし、これからも絶対考えないと思う。
 
 水戸:そしてなにより「リア」で終わっていること!「リア」で終わる国は大体カッコイイからね。
    有名なのはイタリア、ブルガリアあたりで、
    アフリカに目を向ければアルジェリア、ナイジェリア、ソマリア、エリトリア、リベリアと大豊作!
 
 前橋:さっきから一見スジが通ってるように見えるけど、やっぱりよくわかんねーわ。
 
宇都宮:でもさ前橋、オーストラリアを選んだということは、当然オーストリアの存在を承知の上でしょうね?
 
 前橋:おめーはまだ追い討ちするか!知ってるけど知らねーよオーストリアなんか!
 
宇都宮:いい?この2カ国は国名で見る時には切っても切れない関係にあるの。
    「ラ」の入ったオーストラリアって、オーストリアより力強そうに見えない?
 
 前橋:じぇーんじぇん。
 
 水戸:ほら、「ゴジラ」とか「ラリアット」とか「タイラノキヨモリ」とか。
    「ラ」のつくものってどれも力強そうでしょ!?
 
 前橋:それは選ぶ側の匙加減でしょ!?チョイスに作為的なものを感じるね!
 
宇都宮:ただ、この「ラ」という言葉は幼さも兼ね備えてて、
    「コーラ」「エビフライ」「ダニエル・ラドクリフ」みたいに、いかにも子供っぽい単語によくつくのよね。
 
 前橋:3つ目はある意味子供そのものだけどね。
 
 水戸:オーストラリアって、この力強くも幼さを残す「ラ」が有るから
    童顔なのにムッキムキなチャン・グンソク的魅力を生み出してるんだよねー。
 
 前橋:お客さん、お食事とトイレなら今の内にどうぞ。早めの休憩時間ですよ。
 
宇都宮:対するオーストリアは、幼稚さを感じさせる「ラ」が無い分、
    上品でエレガントな年上の女性を連想させるオシャンティな言葉なんだけど、
    一方で「オーストリアぁ?それオーストラリアだろ?オーストリアなんて国ねーよwやーいバーカバーカw」
    と男子小学生にバカにされる数少ない国なのよねぇ。
 
 水戸:そうそう。首都のウィーンも
    「ウィーンとかなにそれwそれ自動ドアの開く音じゃんw」
    って男子小学生にバカにされる数少ない都市名ってのもなんだかねー…。
 
 前橋:いやたしかにそういうやりとり聞いた事はあるけども。けども。
 
宇都宮:こうなるとイケメンという点ではオーストラリアに分があるのよね。
 
 水戸:…あ、でもオーストリアも小学生に小馬鹿にされる可哀想なお姉さん的な要素を含んでいて、
    これはこれでそそられない?
 
宇都宮:あー……悪くないね。初めて担任するクラスの男子達に弄ばれる26歳女教師と見た。
 
 水戸:あぁ、惨めなオーストリア姉さんが愛おしい……。
 
 前橋:はい、じゃあ次はD列からF列の方お願いしまーす。トイレの混雑緩和にご協力くださーい。
 
 水戸:これで一周したから次はあたしかな?
 
 前橋:え゛!?2周目あんの!!?
 
 水戸:これは結構好き嫌い分かれると思うけど、あたしは好きかな。
 
    パプアニューギニア。
 
 前橋:うん、好き嫌い以前に興味がねえ。
 
宇都宮:パプアニューギニアぁ?水戸だいじょうぶ?場違いにも甚だしいわよコレ。
    私に言わせれば頭にパ行、それも2つも続くなんて……まるでパパイヤ鈴木みたいじゃない。
 
 水戸:たしかに「パプア」ってパ行2つで始まるのはカッコ悪いけど、
    「ギニア」という力強い語尾とのギャップがたまらないんだよ!
    それも直接「パプアギニア」ではなく間に「ニュー」というクッションを置くことで
    パプア、ギニアそれぞれの持ち味を相殺することなく接続してるの。
    「パプアギニア」だと、イントネーションが1コ目の「ア」に置かれて後半の「ギニア」が死んじゃうけど、
    「パプアニューギニア」にすることでイントネーションが「ニュー」に置かれ「パプア」と「ギニア」の両立が可能になるの!
 
 前橋:たっぷり長セリフ使って今日イチで意味がわからねえ事言ってんじゃねえよ!!
 
 水戸:さらに言語学の研究者によれば、「パプア」という可愛げのある語頭と「ギニア」という男らしい語尾とのギャップ、
    そして「パプア」「入」「ギニア」という誤表記がきっかけとなり、
    「パプアがギニアを攻めてる感じがイイ!」と一部の日本人女性から支持されているという研究結果が出てるんだって!
 
宇都宮:ふーん……パプアがギニアを攻めている、と言うと、
 
    「や、やめろよ…!」
    『なんですか先輩、今更恥ずかしがってるんですか?ほら、こんなに澱みないピンク色したニューギニア持ってるじゃないですか』
    「そ、それは……それに、オ、オレのギニアは別におニューなんか……あぁっ…!」
    『どうしたんですか?先輩のギニア、まるで女みたいにヒクヒクしてますよ?本当は入れて欲しいんじゃないんですか?』
    「そんなこと無い………わけ、じゃねえが…」
    『じゃ、僕のパプア入れますね……先輩の…ギ・ニ・ア・に』
    「あっ!ぱ……ぱ…………ぱ、ぱぷぁーーーーー!!」
 
    こんな感じ?
 
 前橋:おめーパプアニューギニアにぶっ殺されんぞ!国家で上級者向けエロ同人みたいなことすんなよ。
 
宇都宮:あら、私は包丁を手に持つ板前さんと、捌かれる前のサケをイメージしてたんだけど?このコったら何を妄想してたのかしらねぇ。やらしー。
 
 前橋:ちくそー!!おめーなんか板前にパプア入れられて死んじまえ!!
    てゆーかさっきから繰り広げてるパプアニューギニアの二次創作はどこがイケメンなの!?
    イケメン要素はどこいったのさイケメンは!
 
 水戸:え?イエメン?
 
宇都宮:イエメンって名前だけはイケメンと似てるけど、こいつはイケメンじゃないわね。
    田舎の高校生がファッション誌を鵜呑みにした結果、全然似合ってないタイプ。
 
 前橋:いい加減にして!!

 

〜採点結果〜

最高 最低 標準偏差 お気に入り 採点人数 平均
86 40 17.53
★★★★
9名 58.78



〜詳細〜


★=お気に入り
100  
   
   
90  
  86★(ジンガー)
  82★(山下)
80  
   
  72★(FAN)
70 70★(六升)
   
   
60  
   
   
50 50(鋳☆いんがむ)
   
  41(W伊賀忍者 田んぼマン)・43(BONBORI)・45(きょくにゃん)
40 40(槍沢 雑)
   
   
30  
   
   
20  
   
   
10  
   
   
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