インパク×インパク

コント/捜査本部



藤田「それでは、今回の事件について説明をさせていただきます。
   被害者は山本孝三。35歳の数学教師です。
   死亡推定時刻は6月6日の17時」
 
阿部「死因は?」
 
藤田「棒状の鈍器で後頭部を一撃。現場近くに血のついた鉄パイプ1本が遺棄されていました。
   鑑識に回したところ、被害者の血液とみて間違いないとのことです」
 
阿部「なるほど…」
 
藤田「現場となった被害者のご自宅はかなり荒れています。
   被害者は授業で使うような大きな三角定規を使って必死に抵抗していたようです。
   被害者の手には、強く三角定規を握った痕がついています。
   三角定規の破損具合から見ても、かなり抵抗した様子が見て取れます」
 
阿部「容疑者は?」
 
藤田「葉田和彦、被害者の学生時代の友人です。
   他の親しい友人からの聞き込みによると、金銭トラブルがあった模様です。
   まあもう一人の容疑者、隣に住んでいる男も確かに怪しいのですが…」
 
阿部「隣人はどういう男なの?」
 
藤田「はい、隣人は岡田洋二。覚醒剤の密売で3回、性犯罪で3回の逮捕歴がある、
   3年の服役を先月終えたばかりの、保護観察中の男です。
   服役を終えたばかりの男が、いきなりこんな事件を起こすとは考え難いです」
 
阿部「まあ確かにねー…常識で考えるとそうかなー…」
 
藤田「そしてこちらの写真をご覧下さい。
   被害者の手元なんですが…」
 
阿部「……ダイイングメッセージ?」
 
藤田「そう思われます。被害者の部屋の観葉植物を指差しています」
 
阿部「確かに…。これは容疑者の葉田の『葉』をあらわしている…そういうことね?」
 
藤田「事件が起きた6月6日、葉田は山本さんのお宅に行っているようです。
   近くのコンビニエンスストアの店員が、葉田を目撃しています。
   被害者の爪の間から、何者かの皮膚片も発見されました。
   今鑑識が分析を急いでいますが…葉田の可能性は高いと言えます」
 
阿部「……じゃ、とりあえず鑑識の報告を待つってことで…」
 
藤田「そうしましょう」
 
中田「(ガラガラガラ)ちょっと待ちなさい君たち」
 
藤田「そ、その声は!」
 
阿部「数々の迷宮入りの事件をその独特の切り口で解決に導いてきた、
   通称『ひらめきの中さん』こと、中田浩介警部!」
 
中田「その写真…さかさまにしてみてもらえるかな?」
 
阿部「こ…これは…?」
 
中田「よく見てみなさい。これは…」
 
阿部「カエル?!」
 
中田「に  見  え  な  く  も  な  い  !  !  !」
 
阿部「  確  か  に  !  !  」
 
藤田「ギリギリ見えなくもないくらいのもんですよ!
   だから何なんですか!?」
 
中田「ダイイングメッセージを先入観で見てしまうことで、
   事件の本質が見えなくなる可能性がある」
 
藤田「まあ確かに…」
 
中田「常識という名の皮膚片…君も、鑑定しなおしては、いかがかな?」
 
藤田「その喩えはちょっとわからないですけど」
 
阿部「もしくはこの上司という名の鑑識に、その常識という名の皮膚片を…」
 
藤田「自分も葉っぱの線で間違いないって思ってたくせに何を言うんですか!」
 
阿部「あたしは中さんという名の鑑識を通してだね…」
 
藤田「ややこしくなるんで警部は黙ってて下さい」
 
阿部「しゅん…(´・ω・)y−~~~」
 
中田「君、凶器は何だったかな?」
 
藤田「鉄パイプですが」
 
中田「…ふむ。棒だねえ…。棒だ。棒が一本。
   なるほどねえ…棒が一本あったとさ。葉っぱかな…葉っぱじゃないよ、カエルだよ…
   これは偶然なのかね?」
 
藤田「偶然っていうかそれもうこじつけの領域ですよ」
 
中田「やれやれ…君にはもうこれが葉っぱにしか見えてないということかね…
   常識という名の葉っぱを一度ひっくり返して、
   無理矢理カエルに見ようとしてみてはいかがかね」
 
藤田「自分でも無理矢理って言っちゃってんじゃねえかよ!」
 
中田「まあまあ待ちなさい待ちなさい。肝心なのはここから先だ。
   カエルじゃないよ…(キュッキュッ…)アヒルだよ…と。どうだ。
   なんかこう、なんとなく緑色のアヒルにも見えてきただろう」
 
藤田「自分で書き足しちゃったよ!どんだけ必死なんだよ!
   そもそも何だ緑色のアヒルって!どんなメッセージなんだよ!
   仮に緑色のアヒルを伝えたかったとしても犯人はどういうやつなんだよ!」
 
中田「アヒル口のナメック星人かもしれない」
 
藤田「そんなやついるか!限りなくゼロに近いわ!」
 
阿部「(キュッキュッ)さらにこうするとぬらりひょんにも!」
 
藤田「見えません!だから警部は黙ってて下さい!」
 
阿部「しゅん…(´・ω・)y−~~~」
 
藤田「まったく何を2人でやってるんですか…
   現場の写真に勢いで落書きしやがって…」
 
阿部「でもさ、6月6日は確か…雨だったんじゃない?土砂降り」
 
藤田「それが何ですか」
 
中田「6月6日に雨がザーザー降ってきて…」
 
阿部「それに被害者が抵抗する際に使った三角定規は…破損していた…」
 
中田「三角定規にヒビ入って…どうだい?」
 
藤田「ただの偶然でしょうよそれは…こういうことだってあるんですよ」
 
阿部「偶然で片付けていいのでしょうか!こればっかりは!
   ここまで一致することなんてあるのでしょうか!」
 
藤田「どう考えたってそこまで考えて三角定規で防御しないでしょうよ!
   常識的にこれは偶然ですよ…」
 
阿部「出た!また常識だって!」
 
中田「常識という名の三角定規を…」
 
藤田「もういいわそのよくわからん喩えの人生論は!
   なんなんですかもう!…あ、その次の歌詞!どうなんですか!
   あんぱん3つ!豆3つ!コッペパン2つ!これはどう説明するんですか!」
 
中田「岡田は覚醒剤の密売で3回の逮捕歴がある」
 
藤田「え、そっちのアンパン?!」
 
中田「それに、豆は豆泥棒。警察の隠語で性犯罪者。
   岡田の性犯罪の逮捕歴は、何回だったかな?藤田君…」
 
藤田「……ッ ッ ッ ! ! !」
 
阿部「それに岡田はつぶしたコッペパンを2つくっつけたような顔をしてるの」
 
藤田「最後のそれ納得いかねえな!どんな顔なんだそれ!
   そんなわけねえだろ!」
 
中田「それにね、私はここに来るまでに被害者の山本さんの素性を調べたんだ。
   数学教師ではあるけれども、かなりの文学青年らしくてねえ…。
   とくにミステリー小説を好んで読んでいたらしいんだよ。
   これはもう、死に直面した山本さんの頭脳が、
   このダイイングメッセージを生んだのかもしれないねえ…。
   藤田君、ここまで来ると…もう葉田よりも…」
 
藤田「確かに…そこまで来てしまうと…」
 
阿部「そう…犯人は、かわいいコックさんよ!近隣のレストランに包囲網を敷くのよ!」
 
藤田「どうしてそうなるの?!今までの話聞いてた?!
   岡田を追うんでしょうよ!ここまで来ると!」
 
阿部「ああそうか!えへへ…間違えちゃった☆」
 
藤田「もうお前は喋るな!ホント納得いかない話しかしないなこの上司は!」
 
阿部「しゅん…(´・ω・)y−~~~」
 
藤田「タバコを消せ!何だよ落ち込むたびにタバコ吸う癖なんとかしろよ!
   なんで少しだけ堂々としてるんだよ!煙たくて邪魔なんだよさっきから!
   本当にどうしようもない上司だな!いいから行きますよ!」
 
 
 ・
 ・
 ・
 
 
阿部「で、どうだったの?藤田君。ん?」
 
藤田「はい…潰したコッペパンみたいな顔でした…」
 
阿部「…何か一言ないの?」
 
藤田「………あの……すいませんでした…」
 
阿部「っしゃ!!!」

 

〜採点結果〜

最高 最低 標準偏差 お気に入り 採点人数 平均
93 35 20.91
4名 60.75



〜詳細〜


★=お気に入り
100  
   
  93★(井島)
90  
   
   
80  
   
   
70  
   
  61(FAN)
60  
   
  54(きょくにゃん)
50  
   
   
40  
   
  35(鋳☆いんがむ)
30  
   
   
20  
   
   
10  
   
   
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