偽りPercussion

コント/グリーンドリーマーの悲劇



(ビルの隙間に挟まってる男を少年が引っ張ってる)
 
橋本:が、頑張れ、頑張れおじさん!そろそろ抜けそうだよ!
 
霜山:ぬおおおおぉぉぉぉ!!!もげる!もげる!色んな所がもげるっ!!俺はもう駄目だぁぁぁぁあ!!!!
 
橋本:大丈夫だよ!首がもげたって意外とガッツで生きれるもんだよ!!
 
霜山:俺は昆虫かぁぁぁ!!!生命力そんな強くねえわぁぁあ!!!!!チクショウ俺はもう駄目だぁぁぁぁあ!!!!
 
橋本:あっ、おじさん軟体動物だ!自分は軟体動物なんだというイメージを心に刻んで!!
 
霜山:イメージだけでするっと抜けれたら苦労ねえわぁぁ!!ぬおおおぉぉぉ!!!!!俺はもう駄目だぁぁぁぁあ!!!!
 
橋本:ほらほらせーの、タコー!タコー!タコ野郎!(力入れて引っ張る)
 
霜山:ただの罵りになっとるわっ!!って急に力入れんじゃねえ!!もげる、もげる!!俺はもう駄目だぁぁぁぁあ!!!!
 
橋本:ああもうさっきからうっさい!大人なんだから少しくらい我慢してよ!!それとすぐに諦めるんじゃない!!
 
霜山:グガガガガガガガガ・・・・!!!!俺はもう駄目・・・!!
 
橋本:いくよ!せーの!
 
(ズボン)
 

霜山:ブハァ!ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・。
 
橋本:ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・。
 
霜山:・・・フウ・・・助けてくれた事を心から感謝するぞ少年。おかげで私は生き延びる事ができた。
 
橋本:わぁ、急に偉そうな態度に切り替えたよ。さっきまでもう駄目って叫んでたのに。
 
霜山:その勇敢な精神を賞して、君の願いを一つだけ叶えてやろう。
 
橋本:立場が変わると態度も変わるのが大人って生き物なんだね・・・って、えっ?どういうことそれ、願いを叶えるって・・・。
 
霜山:実は私は、天使なのだ。人の願いを叶える力があるのだ。
 
橋本:えっ、おじさんが天使?嘘でしょ!?というか有り得ないでしょ!?
 
霜山:信じてもらえない理由は凄く分かるが・・・ホラ、証拠に翼だってあるぞ。(背中から翼を広げる)
 
橋本:わー凄い!!天使の翼だ!!けど思ってたより黄ばんでる!!
 
霜山:・・・仕方ないだろ、羽が抜けるのが怖いからあまり洗ったことがないんだ・・・。
 
橋本:「髪が抜けるのが怖いからシャンプーしない」ってのと同じ理屈だね!うわっ、近くで嗅ぐと凄くクサい!!友達の家の絨毯の匂いがするよ!!
 
霜山:ああ、つくづく不便だよ天使の体は・・・で、私が天使だと信じてくれたか?
 
橋本:うん、じゃあ信じるよ絨毯の天使のおじさん!!
 
霜山:フレーズ!絨毯に宿る精霊みたいじゃないか!!
 
橋本:ああもう絨毯のイメージが強すぎるや!!もうおじさんのこと絨毯って呼んでいい?ねえ、いいよね!!じゅーたん!じゅーたん!
 
霜山:日本の信仰心の無さがここまでとは・・・。
 
橋本:じゅーたん!それで、僕の願い事何でも一つ叶えてくれるんだよね?
 
霜山:あ、ああ・・・お前の望みを一つだけ叶えてやろう、どんな願いでもいいぞ。
 
橋本:じゃあさ、ブロッコリーが欲しい!!
 
霜山:・・・・・・・・・えっ?
 
橋本:それもとっっっっっっても大きいの!!超ビッグなブロッコリーが欲しい!!
 
霜山:ブ、ブロッコリーだと・・・?
 
橋本:うん、そうだよ!!早く出してよ!はーやーく!!じゅーたん!じゅーたん!
 
霜山:ま、待て!別にウケを狙わなくていいんだぞ!ほら、学校の人気者になりたいとか、最新のゲームが欲しいとか、そういう少年らしい事を願わなくていいのか!?
 
橋本:なあにそれ、僕はブロッコリーがあれば後は何もいらないよ。
 
霜山:なんて執着心だ!!目に一切の曇りが無い!!
 
橋本:学校の人気者?あんなブロッコリーの良さが分らない奴らなんてどうでもいいよ。
   この前さ、みんなの筆箱にブロッコリーを詰めてあげたんだよね、それなのにあいつ等ときたらそれを僕に投げ返してきやがったんだよ。どんな精神してるんだよ。
 
霜山:そんなもん誰でも投げ返すよ!!
 
橋本:まあ「ブロッコリー星人」って指差されて呼ばれるのはちょっと気持ちいいけどね。
 
霜山:案の定イジメられてる!!普通天然パーマの子に付けられるあだ名なのに!!
 
橋本:僕にはブロッコリーだけが友達さ!ブッロコリーを様々な角度から眺めるのが僕の日課なのさ!
 
霜山:もっと少年時代を有効に使え!!井上揚水に殴られるぞ!!
 
橋本:いいもん!僕はブロッコリーのために生きてブロッコリーのために死ぬのだから!!それが僕の幸せなんだから!!
 
霜山:・・・君、ブッロコリー教とかの信者なの?
 
橋本:そんなのがあったら入りたいなぁ!というか造ってみたいなぁ!僕の人生をブロッコリーに捧げるんだ!!
 
霜山:小学生のくせになんて信仰心だよ・・・天使は全然敬わないのに・・・。
 
橋本:もしも天使の血が染みた土にブロッコリーが生えるなら、僕は躊躇せず刺してるよ!!
 
霜山:ブロッコリーのために殺されてたまるか!!じゃあ本当に良いんだな!?お願いはデカいブロッコリーで!!
 
橋本:さっきから言ってるじゃん!早く出してよこのじゅーたん天使!!蹴るぞ!!
 
霜山:何でそんなに強気なの・・・ちょっと待ってろ、大天使様に伝えるから。(手を額に当てる)大天使様・・・大天使様・・・。
 
阿木(大天使):(爪を切りながら)ああ!?誰だテメエ!?所属を言えや!!
 
霜山:ええと、新宿所属の霜山です。
 
阿木:霜山!?ああ、霜山か、何の用だテメエ!?
 
橋本:ねえねえ、額に手当てて何ブツブツ言ってるの!?相当気持ち悪いよじゅーたん!!
 
霜山:ウルサい!!大天使様と連絡取ってるんだから邪魔するな!!
 
橋本:大天使なんてどこにもいないじゃん!!
 
霜山:普段は天界にいるから、こうやって通信してるんだよ!
 
橋本:天界ってなあに?
 
霜山:ああもう・・・。
 
阿木:オォッラ霜山ぁ!!何の用だって言ってんだろっ!!!クビにすんぞ!!
 
霜山:ヒィ!す、すみません!!(ヘコヘコ)
 
橋本:わー、良く分らないけど「背広」って言葉が思い浮かんだよ!
 
霜山:じ、実はですね・・・私がピンチになってる所を人間に助けられまして・・・。
 
阿木:・・・また助けられたのかテメェ!おい、これで四回目だぞ!!
 
霜山:す、すみません・・・。
 
阿木:それにテメエ先週ゲイに犯されそうになってた所を助けられたばっかじゃねえか!!二週続けて助けられる天使なんて前代未聞だぞコノヤロウ!!
 
霜山:あの時は新宿の恐ろしさを知りました・・・。でも、今回も大変だったんです・・・。
 
阿木:それで、テメェ今回は何を助けられたんだ!?アアッ!?
 
霜山:そ、それがですね・・・野良猫の魂を天界へ召そうと降臨したんですが・・・
 
   野良猫がビルとビルの狭い間で死んでいたので、実体化した時そのまま挟まって抜けられなくなったんですよ・・・。
 
阿木:・・・呆れて何も言えねえわ・・・。
 
霜山:そしてそのミンチ寸前の状況を、そこにいる通りすがった少年に引きずり出してもらったんですよ。いやー、死ぬかと思いましたよ・・・。
 
橋本:あの時はね、スキマ産業を見つけるためにあちこちの隙間をのぞいてたんだ。そしたらじゅーたんがぎっしり詰まってたからすごくビックリしたよ。
 
霜山:・・・少年よ、スキマ産業というのはビルとビルの間で経営してる企業という意味ではないぞ。
 
橋本:えー、それじゃあブロッコリーで仏像を作る会社はどこにあるの?
 
霜山:たとえどんなスキマ産業でもそんなプロジェクトは無い!
 
阿木:あー・・・ちょっと待て霜山、その助けた少年ってのは何歳なんだ?
 
霜山:ええと・・・君は何歳だ?
 
橋本:10歳だよ!ててーん!
 
阿木:おいコラ霜山ぁ!!そんな小さなガキに助けられちゃ天使の面目丸潰れじゃねえか!!そこんトコ理解してんだよなぁ!!
 
霜山:す、すみません!すみません!
 
橋本:わー、日本の大人達もこんな風に誰かに謝ってんのかな。
 
阿木:ったく・・・おい、助けたガキに信号繋げろ霜山!
 
霜山:ハ、ハイただいま!
 
橋本:あれ・・・?雹みたいな音がどこからか・・・。
 
阿木:おいボウズ、聞こえるか。
 
橋本:わっ!何これ、頭の中で誰かが喋ってるよ!気持ち悪い!
 
阿木:心配するな、すぐ慣れる。ボウズ、俺は大天使の阿木って言う者だ。ボウズが助けた霜山っていう天使はウチの部下でねえ。
 
橋本:・・へえー!おじさんがじゅーたんと喋ってた大天使って人なんだ!でも声がジャイアンにそっくりだね!おかしい!
 
阿木:・・・・・・・・・。
 
霜山:・・・ば、馬鹿野郎がぁ!!新宿を滅ぼす気かお前!
 
橋本:えー、だって面白いじゃん!天使の偉い人がジャイアンって!
 
霜山:おいお前!!この人大天使!新宿の運命はこの人の手中にあるの!
 
阿木:・・・オ、オーケイ・・・オーケイだぜ霜山・・・そんな小学生のボウズなんかにディスられたって・・・動揺する訳がナンセンス・・・。
 
霜山:大天使様ぁ!動揺しすぎて変な横文字使ってますよ!!
 
阿木:黙らっしゃい霜山!!小学生にコンプレックスをいきなり指摘されてうろたえる大天使がどこにいる!!オイコラそこのガキ、何でも願い叶えてやるからとっとと望みを言え!
 
橋本:あっ、ええとね、すごく大きなブロッコリーが欲しいの!!
 
阿木:・・・・・・ボウズ、冗談ってのは言って良い時と言ってはならねえ時があってな・・・。
 
霜山:いや、本当なんです!この少年根っからのブロッコリーボーイで、ブロッコリーの事以外眼中に無いんです!
 
橋本:ああ早く出してよぉ!大きなブロッコリーに踏まれて興奮したいよぉ!
 
阿木:こんな人間がいるとはな・・・おい、なんでそこまでブロッコリーが好きになったんだ?
 
橋本:実はね、僕の家は貧乏でさ、毎日の食事はブロッコリーひとつとティラミスしか出ないんだ。
 
霜山:なんでデザートに全力を尽くすんだ!もっとバランス良く作れよ!
 
橋本:でね、お姉ちゃんもお兄ちゃんもブロッコリーが大嫌いだからさ、全部僕にくれてティラミスを食べるんだ!僕はブロッコリーの美味しさが分かってたから、バクバク食らいついたんだ!
 
霜山:貧乏のクセに兄弟贅沢だな!
 
橋本:でもある日ね、ティラミスが突然爆発して僕の家が全焼しちゃったんだ!
 
霜山:なぜティラミスにそこまでの爆発力があるんだ!火薬かなにか入り混ぜてたのか!
 
橋本:お姉ちゃんとお兄ちゃんの部屋は全部燃えちゃったんだけどね、僕の部屋だけは、ブロッコリー型に燃え残ってたんだ!
 
霜山:・・・なんだそれは!何という怪奇現象だそれは!
 
橋本:それ以来ね、僕がブロッコリーをたくさん崇めるとね、靴にブロッコリーが生えたりランドセルにブロッコリーが生えたりして、僕はずっとお腹いっぱいなんだ!
 
霜山:うん、もうそれ呪いだよ。少年よ、それは呪いだよ。
 
橋本:だから僕がブロッコリーを愛し続ければ僕の幸せと将来の安全は約束されるんだ!だから早く大きなブロッコリーを出してよ!
 
   それを愛の象徴として崇め続け、いつか新宿にブロッコリーフィーバーを巻き起こすんだ!
 
霜山:勝手な面白新宿計画を立てるんじゃない!・・・ど、どうですか大天使様?できますか?
 
阿木:うーんブロッコリーね・・・今までやった事がねえからちょっと難しいな・・・。
 
霜山:・・・だそうだ、少年よ、何か別の願いを言え。
 
橋本:えー!なんでよ!やだやだやだ!!ブロッコリーじゃなくちゃ嫌だ!もっと頑張れよ大天使コノヤロウ!ジャイアンコノヤロウ!
 
阿木:クッ・・・クソガキテメエ・・・。
 
霜山:うおーい!急に口悪くなるんじゃねえお前!!この人大天使だって何回も言っとるだろうがぁ!!
 
橋本:うるさいじゅーたん!この平社員め!もう、天使とかって所詮はこんなモンなの!?ああなんかもうガッガリだなーぁ!
 
   天使はビルの隙間に挟まるし、大天使は強気のくせにメンタル弱いし、翼は臭いし願いは叶えられないし最悪だよもう!
 
阿木:キサマ・・・キサマ・・・!
 
霜山:おい、やめろお前!一回落ち着け!頼むから!
 
橋本:なにが願いを叶えてやろうだよ!ビルの隙間から命乞いしてたヤツが偉そうにするんじゃねえよ!子供なめんなペッペッ!
 
   それに何小学生にコンプレックス突かれてうろたえちゃってんのこの大天使は!肝が小さし声はジャイアンだし!
 
   もうジャイアン専門のモノマネ芸人とかになればいいよ!それでオンバトとかに出て「ジャイアンについて知識不足だと思います、やる気あるんですか」とかジャッジペーパー貰えば良いよ!!
 
阿木:・・・フッザけんなこのガキがああああああああ!!!!!!!!!
 
(新宿の地面が大きく上下する)
 
橋本:うわあ!なにこれ!立ってられないよ!
 
霜山:なんだ・・・この地引は!?
 
阿木:俺を誰だと思ってるんだああああああ!!!!!大天使をなめんじゃねえええええ!!!!!
ブロッコリーの一つや二つ簡単に生やしてやるわボケええええええええ!!!!!!!
 
(道路が割れ、中から巨大な樹木が伸びてくる)
 
橋本:ま・・・まさか!!
 
霜山:お、落ち着いてください大天使様!!新宿が壊れてしまいます!!
 
(みるみる成長する巨大な樹木)
 
阿木:なめやがってなめやがってえええええええ!!!!!!大天使の本気を見せたるわああああ!!!!!!!!
 

 
(響く怒号)



(弾け飛ぶアスファルト)
 

 
(壊れるビル)
 



 

(街の中心に聳え立つ、2000メートル近くの巨木)
 

 
阿木:ハァハァハァ・・・・・・どうだ!どうだどうだどうよクソガキ!!お前の望み通りでっかいブロッコリーを生やしてやったぞ!!
 
橋本:あっ・・・あっ・・・。
 
霜山:や・・・やりすぎですよ大天使様!いくらなめられたって!コレ後始末どうするんですか!?
 
阿木:ケッ!知らねえよそんなもん!俺らはただコイツの願いを叶えてやっただけなんだからな!!さあおいクソガキ!存分に食らいついたらどうなんだ!?ああっ!?
 
橋本:あっ・・・あっ・・・。
 
阿木:どうしたどうしたクソガキ!?予想外すぎて言葉が出ねえか!?そりゃーそうだよな!!お前の願いのせいで新宿が崩壊しちまったもんな!!
 
   大天使を怒らせるからこうなるんだぞ!!大天使の力をなめるんじゃねえよ!!さあこれからはしっかりと天使を敬うように教訓・・・
 
橋本:おじさん・・・これ・・・。
 
阿木:ああ!?どうした、何か文句あんのかクソガキ!?
 
橋本:・・・・・・・・・・・・カリフラワー・・・。
 
阿木:・・・・・・はっ?
 
橋本:・・・・・・・・・・・・・。
 
霜山:・・・・・・・・・・・・・。
 
阿木:・・・・・・・・・・・・・えっ、えっ?
 
橋本:これ・・・・・・カリフラワーだよ・・・白いよ・・・。
 
阿木:・・・・・・・・・ブロッコリーじゃ・・・ないのか?
 
橋本:・・・・・・・・・うん、違うよ・・・白いよこれ・・・。
 
霜山:・・・・・・・・・・・・・。
 
阿木:ブロッコリーって・・・・・・緑色の方なのか・・・?
 
霜山:・・・・・・・・・確かそうですよ・・・。
 
阿木:・・・・・・・・・・・ゴメン・・・間違えちゃった・・・。
 
橋本・・・・・・・・・・・・・・。
 
阿木:・・・・・・・・・・・・・。
 
霜山:・・・・・・・・・・・・・。
 
阿木:・・・霜山、後始末をよろしく!!間違えて叶えた願いは取り消せん!!(通信を切り逃げる)
 
霜山:ええええええ!?えええええええ!?えええええええ!?なんで俺がああ!?
 
橋本:ブロッコリーの敵め!!ブロッコリーの敵め!!!(カリフラワーに向かって石を投げる)
 

 

 
そのカリフラワーは、たった一日で世界中の排気ガスを吸い込み、地球の空気を清めた
 
これは天からの授けものだと、世界中が崇め、「カリフラワー教」という新たな教えが広まった。
 
一人の少年が涙した。一人の天使が過労で倒れた

 

〜採点結果〜

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8名 77.88



〜詳細〜


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