ザララ記念日

コント/京土産

少年：日本の京都に観光で来たわけだけど、最悪だよ肩パットをパクられた。
　　　ショックで肩を落としてるから、なで肩に拍車がかかる来なきゃよかった！京都、来なきゃよかった！
　　　さっさとお土産を買って故郷のモッツァレラ島に帰ってやる！
 
八つ橋：おいそこの愚民。おいでやす。京都のお土産といえば私しかないわよ。
 
少年：八つ橋か〜。観光途中で何回か試食したけど、確かにおいしかった！
 
八つ橋：ほら見なさい！私を買えば間違いないのよ！さあ愚民よ、ひれ伏しなさい！私の角の部分をはむはむしなさい！そして食べなさい！
 
少年：でも隣にあるキシリトールガムも気になるぞ！
 
八つ橋：ふざけんじゃないわよ。
 
少年：まるで見たことがない！
 
八つ橋：いやいやいや！あなたは見たことがないかもしれないけど、まずキシリトールガム京都名物じゃないし！
　　　　それにプレミア感も薄いわよ！想像だけど街を歩いてる茶髪はみんなキシリトールガムを噛んでるわ！
 
少年：えー、でもキシリトールガムめっさ気になるよ…！キシリトールガムなんて、モッツァレラ島にはないし…！
 
八つ橋：モッツァレラ島に何があるのよ。チーズしかないでしょどうせ。
 
少年：よし決めた！僕はキシリトールガムを買うぞ！二個買うぞ！
 
八つ橋：ちょ！ま、待ちなさいよ！わかった、わかりました、キシリトールガムも買っていいです！
　　　　でも、私も買って頂けると非常に嬉しいかなって！だから、どうか買って下さい！これは命令よ！あ、違う！お願い！お願いです！
 
少年：え〜！金銭的にキシリトールガムのダブルでいっぱいいっぱいだよ！そのうえ君まで買ったら、お値段がゲロまずいことになっちゃうよ！
 
八つ橋：た、食べ物を前にしてゲロまずいとか…やめなさいよヘコむから…。
　　　　そもそも私は、庶民でも気軽に買える価格設定を実現してるわよ！だから安心してひれ伏しなさい！私の角の部分をぺろぺろしなさい！そして食べなさい！
 
少年：でも僕、１００万モッツァレラしか持ってないし…。
 
八つ橋：何それお金？それともチーズ？お金ということで進めるけど、それは日本円に換算するといくらなの？
 
少年：１００万モッツァレラは２円だよ！
 
八つ橋：２円！？モッツァレラ島は経済が崩壊してるの！？ていうかそれキシリトールガムひとつ買えないわよこの馬鹿！
　　　　……はぁ、もういいわ。私のあんこを貸してあげる。だから、これで私を買いなさい！
 
少年：え…！？で、でも…そんなことをしたら、君のあんこが減ってしまう…！
 
八つ橋：か、勘違いしないでよね！あんこは必ず返してもらうわよ！利子もタップリつけて、皮からはみ出る程にしてもらうんだから！
 
(しょうねんは　あんこを　てにいれた)
 
少年：やったあ！これでキシリトールガムを買えるだけ買うぞ！八つ橋は買わない。誰が買うものか。
 
あんこを失った八つ橋：ひいい騙された！私はもう二度と初対面のモッツァレラ人にあんこを貸したり、しないわ！
 
キシリトールガムをあんこで支払おうとして店員に寝技をかけられる少年だったが、なで肩を利用して何とか脱出し、そのままモッツァレラ島へ向かった。
帰りのカヌーで噛んだキシリトールガムは、どこか八つ橋の味がするような気がして……少年は涙し、肩にシリコンを入れようと決意した。