ケミカル・マシーン

漫才/雫の祭典は時代を紡ぐ



弐葉:はいどーもー、ケミカル・マシーンです
 
肆川:よろしくお願いします!
 
弐:肆川さん、「セミセミセミファイナル・ティー」って好きですか?
 
肆:なんだそりゃ!?そんな日本語英語してるお茶の名前初耳だわ!
  無理から直訳しても「準々々決勝茶」だし、聞いたこともねぇ!
 
弐:そうですか……原料界のセミセミセミファイナリスト達を結集させたお茶なんですが……
 
肆:げ、原料界……?んだよそれ、ワケわかんねぇ
 
弐:確か日本語名は「十六茶」なんですが
 
肆:え!?十六茶!?
  あ、セミセミセミファイナリストってベスト16ってこと!?分かりづら!!
 
弐:あ、「十六茶」ならわかるんですね。珍しい〜
 
肆:いやそっちが本来の名前だからね!「セミセミセミファイナル・ティー」なんてナンセンスな言い方お前しかしないからね!
 
弐:そうなんですか?祖父から受け継いだ呼び方なんですが
 
肆:随分西洋かぶれなお爺ちゃんだね!呼び方受け継ぐってなんだよ!
 
弐:でも、呼び方は置いといて、あのお茶美味しいですよね〜
 
肆:まぁ味は俺も認めるけどさ
 
弐:さすが激闘を勝ち抜いた十六傑が揃っただけはあります
 
肆:いやだからトーナメント戦の果てに出来た茶じゃねぇっての
 
弐:まさか、緑茶がグァバ茶に負けるとは……
 
肆:そんな攻防あったの!?ホントなら確かにそれはグァバ茶の大金星だ!
 
弐:ここだけの話、緑茶はそのせいで爽健美茶に加わざるを得なくなったらしいです……
 
肆:いらんわその裏話!!何ちょっとタブーにふれた感出してやがんだよ!
  全然違ぇっての!十六茶も爽健美茶も長年の研究の果てに原料を厳選して出来たブレンド茶だよ!!
 
弐:またあなたは夢の無い話を……
 
肆:茶っ葉の勝敗なんて話に夢も糞もあるか!
 
弐:まあ、そんなセミセミセミファイナル・ティー。好きなんですけど、消費者としてちょっと疑問もあるんですよ
 
肆:そういう呼び方するくせに消費者を名乗るか……まぁ、いいや。どんな疑問なの?
 
弐:いや、なんで次の試合しないのかなぁ?って
 
肆:だからトーナメントしてないって言ってんだろが!いい加減にしろよお前!
 
弐:それは僕も言いたいです!!いい加減にセミセミファイナル・ティー作れよアサヒ!!
 
肆:どこに対して放ってんだ!失礼だぞ!
  ……つか、ちゃっかり準々決勝にコマ進めてんじゃねぇよ!!
 
弐:セミセミファイナルですから、セミセミなりにセミセミセミより相当美味しいはずなんですよ!
 
肆:セミセミうるせぇえ!わかったから、せめてクォーターファイナル・ティーと言うぐらいの努力はしろや!
 
弐:くっそ〜!こちとら勝敗予想までしてるのに〜!
 
肆:予想とかしてんの!?第一勝敗とか付くようなモンじゃないだろ!
 
弐:あ、僕のセミセミファイナル・ティー予想みますか?見たいですよね?(紙を取り出す)
 
肆:見たくない見たくない!需要ねぇわ!!
 
弐:そんなこといってぇ〜。見たいくせにぃ〜。結構データとかから分析したんですよ!(☆瞳☆キラキラ☆)
 
肆:うわ、W杯前のサッカーファンみてぇな眼をしてやがる!いらねぇって!
 
弐:強引にでも見せます!えいや!
 
肆:ぐッ!
 


   〜準々々決勝予想〜
 
    黒豆○ ×ハトムギ
    昆布○ ×玄米  
アマチャヅル○ ×ハブ茶
  グァバ茶○ ×びわの葉
   桑の葉○ ×発芽玄米
  シイタケ○ ×とうもろこし
    きび○ ×あわ
  発芽大麦○ ×大麦
 
結果/セミセミファイナル・ティー・ブレンド
 黒豆、昆布、アマチャヅル、グァバ葉、桑の葉、発芽大麦、シイタケ、きび
 


肆:…………
 
弐:どうですかぁ〜!?結構いい線いってると思いません!?
 
肆:……うん、案の定どうでもいい!ハトムギとか結構重要そうなヤツらが負けてるけどどうでもいい!
 「へぇ〜、十六茶ってこんなのも入ってるんだ〜」ってちょっとなったけどホンッットどうでもいい!!
 
弐:個人的に発芽大麦vs大麦が熱いかな〜、と思ってるんですが
 
肆:そんな大麦同士の一騎打ちとか知らんわ!なんだよこれ!マジで何の話題性もない!!
 
弐:でもこれで「八茶」ができましたよ!
 
肆:なんか文字通り魅力半減してんな!!全然購買意欲湧かないよ!
 
弐:妄想だけでもワクワクします
 
肆:しないっ!
 
弐:ツれませんねぇ……でもまだまだ!これがセミファイナル・ティー予想、準々決勝の勝敗予想です(紙を取り出す)
 
肆:次まであんのか!!いいよもう!
 
弐:そうですか……でも確かに僕も準々決勝の予想は自信ないんです……準決勝はもっと難しい……
  ヴィクトリー・ティー予想、決勝の勝敗予想のほうが自信あるんでそっちを見せましょうか!(紙を取り出す)
 
肆:お前の自信とかの問題じゃねぇよ!「優勝茶」だからって興味あると思ったら大間違いだからな!!
 
弐:まぁまぁそういわずにぃ〜。えいや!
 
肆:ウガっ!?
 


   〜決勝予想〜
 
  シイタケ○ ×昆布
 
結果/ヴィクトリー・ティー
 シイタケ
 


肆:…………
 
弐:どうですかぁ〜!
 
肆:いや、ファイナリストが揃いもそろって出汁の原料ってどういうことだ!?決勝茶の時点で相当カオスだな!
 
弐:バカにしないでください!!昆布茶もシイタケ茶も美味しいんですよ!!
 
肆:いや、確かに美味いけどもうちょっとチョイスあったろ!?なんか飲むのに勇気いるわ、そのブレンド!
 
弐:まぁ、見ての通り、結局シイタケが優勝するんでいいじゃないですか!
 
肆:てことは、優勝茶ってただのシイタケ茶じゃねぇか!激戦の末に完成したのがシイタケ茶ってなんかむなしいわ!
 
弐:美味しいんでいいのです!これで「一茶」は決まりましたね!
 
肆:もはや「十六茶」の影も形もないのに「一茶」なんて呼ばなくていいだろ!小林一茶も名前かぶって泣いてるよ!
 
弐:あ、なんか、そういわれると気になりますね……じゃあ、名前変えましょう。
 
肆:お、素直だな。変えて変えて!
 
弐:「茶」を取って、「一」にして、「はじめ」って読ませましょう!
 
肆:既出既出!!既に緑茶のがあんだよ!シイタケ茶が名乗っていい名前じゃねぇよ!
 
弐:う〜、残念ですね〜……僕の予想は現実味が足りないのかなぁ
 
肆:現実味、一縷も無いけどな……
 
弐:はぁー、そうですよね〜……シイタケにアジア代表は無理ですよね〜……
 
肆:え!?ちょっと待て!これアジアカップだったの!?十六茶ってアジアのベスト16だったの!?
 
弐:そうですよ?次に待ってるのがワールドカップです。ラベンダーとかジャスミンとかと戦うんですけど
 
肆:うわなんか強そう!シイタケじゃ勝てっこないわ!絶対緑茶とかのがいいわ!
 
弐:ん〜、確かに緑茶は何度か世界行ってますけどねぇ〜
 
肆:あ!?緑茶W杯常連なの!?
 
弐:ええ。祖父が若いころは相当強かったとか
 
肆:お茶のW杯ってそんな昔からあるの!?
 
弐:イギリス大会では決勝リーグにまで行ったんですって
 
肆:緑茶すげぇな!世界のベスト16になったの!?
 
弐:緑茶の活躍があまりに衝撃的だったので、それからイギリスでは日本茶をセミセミセミファイナル・ティーと呼ぶようになったそうです
 
肆:いや、なんでそうなるんだよ!!英語圏のくせに語彙力が散々だな!!
 
弐:まぁ、それは仕方ないですよ。日本人である、僕の祖父が名付けたんで
 
肆:お前の爺ちゃん何してくれてんだ!日本茶に何てことしてくれてんだ!
 
弐:まぁ、英国茶原料協会会長の頃の話だったんで、誰も逆らえなかったとか
 
肆:爺ちゃん何者!?そのすごいのかすごくないのか微妙な肩書き何!?
 
弐:結局、祖父しか使ってなかったらしいですが
 
肆:全く浸透してねぇじゃねぇか!!イギリス全体がそう呼んでたような言い回しすんなや!
 
弐:そして数十年後、十六茶が発売されたとき、祖父は思ったそうです。あ、これ正にセミセミセミファイナル・ティーじゃん
 
肆:爺ちゃん自分のアイデアに相当未練あったんだね!なんかかわいそうになってきたよ!
 
弐:その呼び名を近所に言い回ったそうですが、大分鬱陶しがられたそうで
 
肆:そりゃそうだわ!十六茶って秀逸な名前があるんだから!
 
弐:結局、祖父しか使ってなかったらしいです
 
肆:見事な二の舞じゃねぇか!爺ちゃんバカだけど本当にかわいそう!!
 
弐:ふふふ。でも、それは僕に受け継がれることになるんですよ
 
肆:そういえばそうだったね!結構な厄介を孫に伝承しちゃったね!
 
弐:……何の因果が働いたんでしょうね……歴史の摂理……壮大ですねぇ……
 
肆:全然小規模だわ!一ミリたりとも歴史動かせんわそんな因果!
 
弐:……緑茶の入っていない茶が、本来緑茶を意味する「セミセミセミファイナル・ティー」と呼ばれている……運命のいたずら……皮肉なものです……
 
肆:うっせぇよ!さっきから、しみじみしてんじゃねぇよ!もうういいわ!どうせ大体ウソだろうが!!
  お茶の原料のワールドカップとかなんだよ!あらぬことうそぶいてんじゃねぇよ!
 
弐:あります!ちゃんと存在します!!人を嘘つき呼ばわりとは失礼な!!
 
肆:100%ウソだろうがよ!!
 
弐:僕の祖父の名誉を否定する気ですか!!
 
肆:むしろ否定されたほうがいい過去だったけど!?
 
弐:ぐぬぬ……はっ……そうか!……ふふふ。わかりましたよぉ〜
 
肆:うわ、何だ急に……気持ち悪いな……
 
弐:ふふ。なるほどね。だから怒ってるんだ……
 
肆:……なんだよ?
 
弐:わかりますよ……大好きな緑茶が戦う前から外されてて苛立ってるんでしょう?
 
肆:いや、どっからそう判断したんだよ!心情読むのヘタクソか!!
 
弐:まぁまぁ、落ち着いて……次は緑茶も参戦できるようにしますから!
 
肆:しなくていいっての!別に緑茶の扱いでキレてるわけじゃねぇっての!
 
弐:新たなるセミセミセミファイナルの始まりですよ……
 
肆:幕開けなくていいって!つか、緑茶いれたら十七茶になってキリ悪くなるわ!!
 
弐:は?緑茶なんて最初から入ってる計算ですよ?そこに優勝したシイタケを特別枠で入れて十六ですけど?
 
肆:……あ?どゆこと?
 
弐:緑茶、はぶ茶、大麦、チコリー、発芽玄米、なんばんきび、びわの葉、大麦若葉、杜仲葉、明日葉、プーアル茶、どくだみ、
  以上十五種類にシイタケプラスで十六種類です!!
 
肆:ん?何かメンツが違うな……つか、シイタケ足しても十三種類だぞ?
 
弐:え?……あ、忘れてた!!あと、はとむぎ、玄米、月見草〜♪
 
肆:爽健美茶〜♪ってお茶変わってんじゃねぇか!
 
弐:祖父いわくフレッシュ・ヘルシー・ビューテフル・ティー!!!!!!!
 
肆:また爺ちゃん由来かよ!「爽やか健やか美しい茶」って適当すぎだろ!
 
弐:……これは僕も使いたくない……
 
肆:使ってあげろや!!いい加減にしろ!!
 
二人:どうもありがとうございました


 

〜採点結果〜

最高 最低 標準偏差 お気に入り 採点人数 平均
93 22 21.97
★★★
11名 62.45



〜詳細〜


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40  
   
   
30  
   
  22(ほしの)・23(槍沢 雑)
20  
   
   
10  
   
   
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