理系文系

コント/桃

【ある日】
 
文「どうもこんにちは、桃です！
　　桃太郎ではなくそれを内包する、桃です！
　　鬼のはびこる世の中に桃太郎を提供する宿命を持った、桃です！
　　なのでコレよりお婆さんに拾われると言うミッションをこなしに行こうと思います！
　　レッツ、川下り！」
 

理「さて今日も川辺で洗濯を……、アレ？」
文「どんぶらこっつってね！　どんぶらこっつってね！」
理「…………うわぁ」
文「どんぶらこっつってね！　どんぶらこっつってね！（チラッ）」
理「…………遺伝子組み換えの弊害であろう異常成長作物なんて、
　　見なかったコトにしましょう……！」
文「どんぶらこっつってね!?」
理「さて帰ります」
 



【次の日】
 
文「めげずにリベンジ挑戦、桃です！
　　でも熟成期間を経てさらに美味しそうに見えるようになったので今日は勝つる！
　　しかもその上ラッピングまで施してもらってきましたしね！
　　コレでお婆さんも拾わざるを得ないですね！
　　レッツ、納涼イベント的な行為！」
 

理「さて今日も川辺で洗濯しつつ昨日の記憶も洗い流したい所で……、おや？」
文「どんぶらこっつってね！　どんぶらこっつってね！」
理「…………うへぁ」
文「どんぶらこっつってね！　どんぶらこっつってね！（チラチラッ）」
理「…………なんか桃界の小林幸子みたいなのが見えた気がしますケド、
　　やっぱり見なかったコトにしましょう……！」
文「どんぶらこっつってねえ!?」
理「では帰ります（あなぬけのひもで）」
 



【また次の日】
 
文「こうなったら徹底的に興味を惹くカンジにしてやります、桃です！
　　今回はアレだ、正義サイドっぽい明るさをとか醸し出して気を惹こうと思います！
　　視覚だけでなく聴覚にも訴えかけられるように、陽気な音楽も奏でます！　　派手に行きますよ！
　　レッツ、流しそうめんリスペクト！」
 

理「今日も川辺で洗濯なんですよねぇ。
　　もうホント色んな事情でドラム式洗濯機が欲しい所ですが……、また？」
文「ドンブラチャッチャー♪　ツッテネチャラチャラ♪
　　ドンドンブラブラ♪　チャラツテチャラチャラ♪」
理「…………うぼぁ」
文「ドンブラチャッチャー♪　ツッテネチャラチャラ♪
　　ドンドンブラブラ♪（チラリラリーン♪）」
理「…………エレクトリカルパレードのパチもんみたいなモノなんて、
　　やっぱり見なかったのです……！」
文「ドンブラチャッチャー!?」
理「じゃあ帰ります（桃太郎は孵らないで下さい）」
 



【さらにまた次の日】
 
文「そろそろ下の方が腐ってきたからピンチ、桃です！
　　流水にさらされるのにも限度がありますね！
　　頼み込む姿勢を見せれば拾ってくれると思うので、今日はそれを試します！
　　レッツ、図らずともクール便！」
 

理「今日もうっかり川辺に来ちゃいましたケド、
　　良く考えたらクリーニング屋さんに頼めば良かったのに……、来た？」
文「どんぶらHitch Hike♪　つってね♪　どんぶらto House♪　つってね♪」
理「…………うぜぇ」
文「どんぶらHitch Hike！　つってね♪　どんぶらto House！　つってね♪（Chira☆）」
理「…………つーか今日はそもそも老眼鏡持ってくんの忘れてなにも見えませんね」
文「どんぶらHitch Hike!?　つってねええ!!」
理「はい帰ります（できればありふれたに生活にも帰りたい）」
 



【最終日】
 
文「賞味期限は過ぎちゃったケド味がセールスポイントなワケじゃないのでまだ大丈夫かな？　桃です！
　　しかし内部の桃太郎の呼吸困難が危惧されるからやっぱり急ぎますよ！
　　んで、良く考えたらそもそもなにより最低限、
　　中身を空けてくれないと意味が無いというよねって、今日はそーゆー着眼点！
　　レッツ、もはや色んな意味で流れ作業！」
 

理「もうホントに洗濯したくないですこの川来たくないです。
　　いっそ全裸で生活してなにも洗わなくてもいい暮らしをしようかと、
　　そんなコトを検討するレベルですよコレは。
　　とか言ってる間に今日も……、あら？」
文「どんぶらくす玉ですっつってね！　どんぶらくす玉ですっつってね！」
理「…………うせろぉ」
文「どんぶらくす玉ですっつってね！　どんぶらくす玉ですっつってね！」
理「まぁくす玉なんておめでたいモノならこんなさびれた老婆の所でなく、
　　盛り上がりのイイ宴会会場とかに行くべきですよね。
　　………………醜悪に上機嫌な悪鬼の荒れ狂う、鬼が島とかにね！
　　そんなワケで島の方向に年寄りとは思えない力で投擲そぉい!!!!」
文「どんぶら裏目でした!?　っつってねええええええ!!!!」
理「そろそろ帰ります（コレでやっとちゃんとした現実へも帰れそうです）」
 



【後日談】
文「こうして自分はこのまま鬼が島まで流れ着いてしまったのです！
　　しかし、鬼たちは全て桃アレルギーだったので桃のままでも簡単に倒せてしまいました！
　　なんと言うかこう、めでたしめでたしっつってね！」