エバーグリーン

コント/閻魔

井島：・・・・ここは、どこですか？
閻魔：いわゆる、あの世ってヤツだよ
井島：あなたは？
閻魔：いわゆる、閻魔ってヤツだよ
井島：・・・・え！？もしかして、今からここで俺が天国に行くか地獄に行くか決めるんですかね！？
閻魔：まぁ、平たく言えばそういうことかな。
井島：どうなるんだろう俺！悪いことも良いこともいっぱいしたからなぁ！うわ！どっちになるんだろう！すげえ緊張してきた！
　　え！？俺どっちに行くんですかね！？
閻魔：ちょっと待ってな、今、お前が現世で何をしてきたかが書いてある資料を読むから。
　　それで決めるから。
井島：うわぁ！俺本当にどっちに行くんだろう！怖いわぁ
・・・でも期待して裏切られるのが一番つらいよな！よし！地獄行きだと思ってよう・・・いやでも地獄行きはいやだなぁ！
閻魔：・・・え！？
　　・・・・・君の行き先が決まったよ。
井島：え！？マジっすか！？うわ！運命の瞬間だわぁ・・・
　　いやでも、あれですよね！相当悪いことしないと地獄とかはないですよね！？そこまでシビアじゃないですよね！？
閻魔：発表するわ。お前の行き先は・・・
井島：いやちょっと待ってちょっと待って！まだ心の準備が出来てないから！
　　一回ちょっと呼吸整えさせて！
閻魔：・・・・・・・あのさ、一つ聞きたいんだけど・・・何でそんなテンションで居られるの？
井島：え？いやだって、天国か地獄か決まるってなったら、誰だってドキドキするでしょ。
閻魔：いや、それはそうだけどさ・・・お前は例外じゃん。
井島：え・・・？どうしてですか？
閻魔：おまえさぁ・・・今までの人生で、何してきたかわかってる？
井島：・・・まさか・・・！お風呂の中でおしっこしてたのバレてます！？
閻魔：それじゃねえよ！お前生きてた時に53人も人殺してんじゃねえか！死刑になってここに来てんじゃねえか！よくドキドキできたな！
井島：それってそんなに騒ぎ立てるようなことですかね？
閻魔：騒ぎ立てるようなことだよ！
　　　俺も長年、閻魔やってるけどこんなにジャッジが楽な人間もそうそう居ないよ！
お前みたいな殺人鬼、地獄に決まってるだろ！
井島：いや、そんな殺生な！
閻魔：殺生してたのはお前だろうが！53回も殺人してきたヤツが何言ってんだよ！
井島：反省してますから！地獄は勘弁してくださいよー！(肩に手をポンッ)
閻魔：触んじゃねえよ！怖えよ！お前は閻魔でも持て余すほど怖え存在だからな！？
井島：・・・僕だって・・・好きで人殺しをやってたんじゃありませんよ！
閻魔：じゃあ何でやってたんだよ！？
井島：人を殺すと・・・ゾクゾクして・・・ワクワクして・・・他のことでは味わえないような快楽と興奮を味わえるんですよ！
閻魔：・・・・それを好きでやってるといわないで何を好きでやってると言うんだよ！
井島：あと、殺した人の血を飲んだときの美味・・・あれは何者にも形容しがたいですね！
閻魔：お前ガッチガチだな！モノホンだな！何でよりによってこんなヤツの相手しなきゃいけないんだよ！
井島：いや、本当においしいんですよ！血をゴクゴクいくと！
閻魔：ゴクゴク！？ゴクゴクまでいったんかお前！ゴクゴク！？
　　　ペロッとかじゃなくてゴクゴク！？血ってゴクゴクいくもんじゃねえだろうが！
　　　ってかそもそもよぉ、お前何で死刑になるんだよ！こっち来んじゃねえよ！そもそも何で死刑制度なんてもんが向こうにはあるんだよ！
　　　死刑って要するに向こうの世界の極悪人を俺に押し付けるってことだからな？
　　　とんだとばっちりだよ！アイツら俺に恨みでもあるのか！お前に言ってもしょうがないけどさぁ！
　　　まぁだから法に関係してる人間とか俺クソ食らえと思ってるけどね。
　　　弁護士も裁判官も検事も法務大臣もそういう輩は俺の権限で皆地獄行きにしてます！ざまぁみろ！
　　　何がロウヤーだ！俺のテンションもロウになるわ！流石閻魔様！上手いこというぜ！
井島：あの・・・愚痴ってるところ悪いんですけど
閻魔：愚痴りたくもなるわ！なんてったってお前みたいな強敵相手にしなきゃいけないからな！
井島：俺は結局これからどこに行くんですかね？
閻魔：地獄だね！俄然地獄だね！・・・今空いてる地獄は・・・血の池地獄か。
井島：血の池！？ソイツは涎が止まらないぜ！
閻魔：飲もうとするんじゃねえよ！やっぱ別の地獄が良いな・・・そうだな・・・次に空いてる針山地獄にするか。
井島：えー！痛いのは嫌ですよ！
閻魔：多分お前に殺されたヤツらもそう思ってたよ！
井島：ってか閻魔さんフェアーじゃないっすわぁ・・・俺が嫌いだから地獄行きにしたんでしょう！？
閻魔：因果関係が逆だね！お前が地獄に行って当然の極悪人だから嫌いなんだね！
井島：絶対えこひいきしてるでしょ閻魔さん！俺が地獄行きとかありえないですもん！
閻魔：じゃあなんでドキドキしてたんだよ！まぁドキドキすることすらおかしいんだけれども！
井島：いやドキドキしながらも確信してましたからね。
　　　「俺は天国だろう！」って
閻魔：いや生きてる内に人53人殺しておいてそのメンタルで来れるのかよ！
　　　お前危ないヤツの中でもかなり危ないほうだよ！
　　　Ａ５級殺人鬼だよ
井島：人を肉の階級にたとえるとか閻魔さん俺と気が合いそうですね
閻魔：お前と一緒にすんじゃねえよ！肉の階級にたとえたのにそこまでの意味ねえよ
手下：あのー・・・閻魔さん
閻魔：何だよ急に！今お取り込み中なんだよ！
手下：まことに申し訳ないんですが、その方のジャッジをもう少し巻きでお願いしていいですか？
閻魔：え？何でだ？
手下：なんか、とある国で在任が大量に処刑されたらしくて、死刑囚がどっと押し寄せてきまして・・・
閻魔：もう！これだから法律関係の人間は嫌いだ！全員地獄に送っとけ！