安物鬼
コント/クリスマス
タカシ:今日はクリスマス。サンタさんが来てプレゼントをくれるといいなあ。よし寝ようっと。
サンタ:(コンコン)メリークリスマス!こんばんは、タカシくん。窓開けてよ。
タカシ:甘ったれるな煙突から入ってこい。
サンタ:やれやれ、煙突から入ってきたよ。タカシくんは何様なのかな?
タカシ:ごめんね。知らない人に「窓開けろ」なんて言われたから不審者だと思ったんだ。
サンタ:不審者に煙突から入れと言うのかい?
タカシ:暖炉で有害ガスを発生するプラスチックを燃やしてたからね。
サンタ:ガスマスクをしていて助かったよ。
そんなタカシくんにはこのガスマスクがクリスマスプレゼントだ。
タカシ:なんてこったい。
サンタ:密閉性がしっかりしてないやつだから今もめまいがするよ。
タカシ:ガスマスクの口を覆うところがすごくくさい。
サンタ:ギョーザを食べてきたからね。クリスマスに冷凍ギョーザだ。
タカシ:クサンタさんの生活、寂しそう。
サンタ:職業柄カノジョはできないからね。あとクサンタってなんだ。そんなにくさくない。
タカシ:ニンニクと乾いた唾液のニオイがするよ。
サンタ:それ最初からガスマスクに染み込んでたやつだよ。
タカシ:中古品をプレゼントにチョイスするかね。
プレゼントはこれだけ?
サンタ:一人1個と相場は決まっているんだよ。
タカシ:じゃあガスマスクを返品するからもっといいのちょうだいよ。
サンタ:起きてるガキは嫌いだ。
タカシ:人が寝てるところに窓開けてって言ったのはどいつだ。
サンタ:ぐぐぅ・・・
仕方ないなあ、プレゼントを選ばせてあげるよ。
タカシ:やったあ。
サンタ:1つ目、ヒツジのサーロイン。
2つ目、ヒツジのすね肉。
3つ目、ヒツジのロース。ロースだよロース。
これがほんとのサンタク・・・・・・?何かな?サンタク〜〜〜?
タカシ:ぶち殺すぞ。
サンタ:目が怖いよ。子どもの無垢な目と違うよ。
タカシ:仮にもその3つの選択肢だとして、なぜラム肉をチョイスしたの?
サンタ:ラムは苦手な人もいるからね。サンタさんもその一人だ。
タカシ:さっきからプレゼント選択理由からとっておき感が伝わってこないのだけども。不用品を押し付けられているこの感じ。
サンタ:しょうがない、今回は特別にヒツジのテール肉も選択肢に追加しちゃおう!
タカシ:・・・ヒツジって尻尾あるっけ?
サンタ:すごく短いのがあるよホラ。うんち付いてるから臭いけど。
タカシ:なぜ洗わずに今まで持っていたんだろう・・・臭いフェチというやつかな?
サンタ:に、に、に、に、に、臭いフェチです・・・
タカシ:白状した。
サンタ:寝ている人の枕をちょいと拝借して、ニオイを嗅ぐんだよ。だから夜に来るんだよ。
タカシ:月が泣いてるよ。
サンタ:タカシくんのパパの枕のニオイもあとで嗅ぐからね。
タカシ:パパ・・・
サンタ:タカシくんの枕はどんなニオイかな?
タカシ:やめて恥ずかしいよ!
サンタ:スー・・・ハー・・・くさいな、ニンニクか?
タカシ:お前の口臭じゃねえか。
サンタ:さて、タカシくんの枕がニンニク臭くなったところでプレゼントはどうするんだい?
タカシ:洗濯機が欲しい。
サンタ:残念、3軒隣のコウタくんにドラム式洗濯機をプレゼントしちゃったからもう無いよ。
タカシ:おまえコウタくんの枕も嗅いだろ。
サンタ:その代わりと言っちゃなんだけど、脱臭炭なんてどうかな?
タカシ:プレゼントが炭っころ1つってどうなんだ一体。
サンタ:いい品だと思うんだけどなあ・・・きみみたいな思慮が浅いコドモにはまだ分からないか。
タカシ:オトナを語ってんじゃねえぞ品性の欠片も無い。
サンタ:欠片・・・欠片・・・そうだ、ジグソーパズルなんてどうかな?8000ピースのやりごたえあるやつ。
タカシ:これまでのプレゼントよりはずっといいね。
サンタ:はい決定。じゃあこれ・・・
タカシ:なんで額縁に入ってる完成版なのかな。
サンタ:1週間かかっちゃったよ。糊付けしてあるから、もう遊べないよ。
タカシ:いい加減新品を寄こせ。
サンタ:アマゾン奥地に伝わる伝説の薬なんてどうだい?
タカシ:珍品ではなく。どんな効用?
サンタ:これを飲むと3日間寝なくとも平気になるんだよ。
タカシ:麻薬のたぐいじゃねえか。
サンタ:サンタさんのサンは数字の3で、実際3日以上寝てないよ。
タカシ:パパー警察よんでー。
サンタ:パパもママも起きてこないよ。こう見えてもサンタさん、医学部中退だから睡眠薬には詳しいんだ。
タカシ:眠らされているのか・・・てか医学部中退者は睡眠薬に詳しくなるの?
勉強しないでそんなことばかりしてたから中退なんてする羽目になったんでしょ?
サンタ:だからタカシくんはおとなしくプレゼント選ぼう。そしたらサンタさんは枕のニオイ嗅いで帰るから。
タカシ:この話がまとまりました感。オトナはいつだって身勝手だ。
サンタ:じゃあ逆に聞くけど、タカシくんは何が欲しいのかな?
タカシ:洗濯機。
サンタ:洗濯機は今は品切れな・・・いや、1台だけあるけども。犬用洗濯機と言ってね、
タカシ:それ犬への虐待だ、って2,3年前に問題になったやつじゃねえか。そして案の定中古回収品か。
サンタ:洗濯機以外ならなんでもいいよ。ファブリーズなんてどう?
タカシ:もう枕ごと廃棄するからいいよ・・・
サンタ:じゃあプレゼントは新しい枕なんてどうだい?この枕は多機能枕でね、枕にもなるし踏み台にもなる。
タカシ:硬そう。
サンタ:じゃあこれに決まりだね。この漬物石はここへ置いておくよ。
タカシ:中古どころか道端に落ちてました臭が漂ってるよ。
サンタ:さて、今日はみんなにプレゼントを配るの疲れたよ。続きはまた明日。
タカシ:今日じゃなきゃ意味ないんだけど・・・開口一番にメリークリスマスって言ってたの誰だよ。
サンタ:帰りのタクシーチケットくれるかな?
タカシ:図々しいってレベルじゃない!たぶんぼくのほうが赤字だよ。
サンタ:もう済んだんだ、さっさとチケットくれ。
タカシ:サンタモードをやめるのは子どものいないところでね。はいどうぞ。
サンタ:こ、これは・・・ エ チ ケ ッ ト !
私には無かったものだ、ありがとう少年!死に晒せ!
タカシ:二度と来るな!
〜帰りのタクシーの中〜
サンタ:あ、運転手さん。運転席の座席のヘッドカバー買い取りたいんだけど。
うん、うん、いや変態じゃないです。決して。
いやちょっと待って警察署に向かわないでイヤーーーーーッ!
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48(炎田) | |
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