順列組合

コント:金属メッキと酸化腐食



  雨が降り続ける

Sn「おい【鉄】! どういうコトだよ! 何お前だけ勝手にこんなさびついてんだよ!
   こんなボロボロになってんじゃねーよ!」
Fe「騒がしいな……。そんなに騒がないで下さいよ、【スズ】。
   そもそも私はもう鉄じゃない、酸化鉄です」
Sn「ふざけんな! お前だけこんな酸化腐食しやがって僕は許さないぞ!
  僕らは2人で【ブリキ】じゃなかったのかよ!」
Fe「そうですよ。だからこそ私はブリキの鉄としての仕事を全うして、錆びたんです」
Sn「何を言ってやがる! 僕たちはなんでブリキになった? 缶詰めや玩具になりたかったからだろう!
  衛生的にさびを見せてはならない現場だ、さびない自信があったからココに居るんじゃないのかお前は!」
Fe「ああ確かにココはさびてはならない現場ですよ、――材料表面に居るアナタにとっては」
Sn「……どういう、コトだよ」
Fe「鉄はスズよりもイオン化しやすく優先的に酸素と反応する。
  …………そう、お前をさびさせようとする酸素を奪ってでも優先的にさびるんだ私は」
Sn「なっ……! じゃ、じゃあお前は俺の代わりに!?」
Fe「生まれ持っての【イオン化傾向】に従っただけです。大層なコトはしていない」
Sn「そんな! じゃあ俺が不自然なまでに酸化しなかったのは!」
Fe「なんのコトは無い、金属として生まれた者の摂理ですよ。
  私が完全にさびきるまで、酸素に引き渡す価電子が尽きるまで、
  アナタはさびるコトは無い。さびるコトが出来ない」
Sn「なんだよ! なんで黙ってたんだ! 
  俺はお前にこんな役目を背負わせるためにブリキに、お前を覆う金属メッキになったんじゃない!」
Fe「フフッ」
Sn「何がおかしい!」
Fe「いや、今のアナタは【トタン】のときの私、【亜鉛】先輩がさびたときの私そっくりです」
Sn「――――ッ!」
Fe「あの人は私よりさらにイオン化傾向の高い金属でした。
  なのに私をメッキしたりして、さびてからもなお酸化被膜として私を守ってくれて……。
  『俺のせいで見てくれは悪いケド、丈夫にだけはなってやろうぜ』って、いつも言ってた」
Sn「鉄……」
Fe「スズ、このブリキはアナタが主役です。
   表面のスズがいつまでも綺麗でいられるコトが存在価値の全てなんです」
Sn「そんな!」
Fe「内側で鉄がどうなろうと構うな! 堂々とその金属光沢を見せつけるのがアナタの仕事です!」
Sn「クッ……、僕が完全にお前を被膜できていれば鉄の酸化も起こらなかったのに……!」
Fe「鉄に生まれた以上、ずっと酸化しないでいられるなんて思ってませんでしたよ」
Sn「くそう!」
Fe「そんな悲しそうに叫ばないで下さい。湿っぽいのは嫌いなんですよ、……まだ金属みたいなことを言っちゃったな」

  雨が降り続ける

 

〜採点結果〜

最高 最低 標準偏差 お気に入り 採点人数 平均
80 24.67
7名 34.14



〜詳細〜


★=お気に入り
100  
   
   
90  
   
   
80 80★(恵原局長)
   
   
70  
   
   
60  
  57(8823)
   
50  
   
   
40 40(翔)
   
   
30  
  26(アキラ♪シゲル)
   
20  
  18(FAN)
  11(きょくにゃん)
10  
  7(ブロッコリーとチャーシュー)
   
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