安物鬼

コント/アンパンマン

ジャムおじさん：アンパンマンをぺったんこに潰すマシーンを発明したんじゃ。

アンパンマン：ひえーっ。

おじさん：最終調整をしたいんじゃが、アンパンマンちょっとこの台の上で寝てくれんか。

アンパン：ＺＺＺ・・・

おじさん：そういう寝るではない。

アンパン：ぺったんこに潰されたら元に戻れなくなっちゃうんじゃないですか？

おじさん：窯で焼いたらふっくらじゃよ。

アンパン：うーん、なら顔はいいとして、体は？ボディーは？

おじさん：ＺＺＺ・・・

アンパン：年寄りは寝つきがいいなあ。

おじさん：さあ、アンパンマンよ。この台の上に寝そべるのじゃ。

アンパン：この鉄鋼アーマーを着て寝ますね。

おじさん：そんなもの脱ぐのじゃ。

アンパン：パジャマなんですよこれ。ウシシ。

おじさん：いや、堅くて潰せないとかでなく電気が流れるんじゃこのとおり。

アンパン：（ビリリリリ）うんぎゃあああああ！
　　　　　なぜスイッチを入れたし。

おじさん：いまスイッチをいれたのはチーズじゃよ。

アンパン：うそこけ、チーズは昨日の夜に丸焼きにして喰ったじゃねえか。

おじさん：ほっほっほ、そうじゃったな。最近は物忘れが激しくてな。
　　　　　おや、なんじゃあこのスイッチは？とりあえず押してみようかの？

アンパン：やめろ！そんな物忘れ激しいじじいがよくこんな機械作れたな。

おじさん：２回目でも、押すぞ。アーマーを脱ぐんじゃ。押すぞ。
　　　　　言ったことは冗談抜きで実行するタイプじゃぞ。

アンパン：ひいいいアーマー脱ぐから勘弁してくれー。

おじさん：ん？なんじゃあこのスイッチは、とりあえず

アンパン：約束が違う。

おじさん：ほっほっほ、アンパンマンの体は絶縁体の塊みたいなものじゃから大丈夫じゃよ。ゴム製じゃよ。

アンパン：この体、ゴムだったのか。どうりでゴムくさいと思った。

おじさん：だからこのマッシーンでプレスされても体は平気なんじゃよ。

アンパン：マシーンって言うときなんで抑揚付けたの？

おじさん：さあ、これで納得したじゃろ？この台の上に横になってくれ。

アンパン：なんでそこまで潰そうと。押し花好きとか？

おじさん：子どものころに誰しもアリンコを潰したことがあるじゃろ？それと同じじゃよ。

アンパン：優しい口調で何言ってんだこいつ。俺のことがアリンコに見えてんのかてめえ！
　　　　　アリンコによくもまあパトロール頼んでたな。

おじさん：パンの中に小型カメラと爆弾が仕込んであるんじゃ。
　　　　　つまり、いつもワシが監視をしていたんじゃよ。

アンパン：手柄泥棒に文句を言いたいのはやまやまなんだけど、それ以上に爆弾が初耳すぎて怖い。

おじさん：アンパンマンが力尽きてしまったときに爆発させるつもりじゃった。死なばもろとも。

アンパン：アンパンマンなのかボンバーマンなのかわからなくなっちゃいますね、ウシシ！

おじさん：もう気は済んだかの？はやく横になるのじゃボンバーマンよ。

アンパン：早速まちがえてんじゃねえか。言わなきゃよかった。
　　　　　と、ところで潰したところでちゃんと復活させてくれるんですよね？それが心配。

おじさん：こんな爆弾魔は死刑じゃ死刑！

アンパン：冤罪にもほどがある。というかさっきから話聞いててなんとなく感じ取ったんだけど、アンパンマンを廃棄するつもりじゃないですよね・・・？

おじさん：ＺＺＺ・・・

アンパン：永眠させてやろうか。

おじさん：今まで乙乙乙・・・

アンパン：お疲れさまじゃないよ！まだまだ元気だよ！

おじさん：実はおじさん、とある食パン企業と業務提携することになったんじゃ。つまりしょくパンマンの時代じゃ。

アンパン：汚職パンマンめ・・・

おじさん：さあ、もういいじゃろ。この台の上に寝るんじゃ。

アンパン：ＺＺＺ・・・

おじさん：・・・・・・チャンス！

アンパン：寝てる間を襲うとは卑怯なり。

おじさん：おじさんのジャムという名前にはな、卑怯という意味が含まれているんじゃよ。

アンパン：適当なこと言って食パン業界やジャム業界から干されろ！

おじさん：ほっほっほ、もう干されとるんじゃよ。今回業務提携を持ち掛けてきた企業も借金に潰されそうなんじゃよ。
　　　　　この「ジャムおじさんのパン工場」もあと半年で閉鎖する勢いじゃよ。借金のせいで。

アンパン：アンパンマンを潰す変なマシン作ってないで金の工面しとけ！

おじさん：このマシンは開発費に３億使っているからもう後には引けないんじゃ。
　　　　　使わずに終われというのかね？

アンパン：こんなくだらない機械に３億！？しかも借金持ち！？
　　　　　こりゃ飼い犬だって喰うわな。

おじさん：そういうわけだから、ためしに１回潰されてみてくれ。

アンパン：おまえが潰されたほうがよっぽど良い。

おじさん：ほら、バタコのシャワー浴びてる写真あげるから。

アンパン：お前本当に最低だわ人間のクズだわクズ代表だわ写真ください。
　　　　　やっほおおおおおい！

おじさん：はい、台の上に寝て。

アンパン：こうですか？

おじさん：そう、それじゃあプレス開始！ポチッとな。

アンパン：ちゃんとまた焼き上げてくださいよー。



プレス機で潰した際にアンパンマンの中の爆弾が爆発し跡形もなくなりました。平和になりました。
おしまい。