インパク×インパク

コント/式前日



(外は激しい雷雨。職員室には3名の大人がいる)
 
藤田「はい、それでは明日の入学式のスケジュール、
   決めていきたいと思います…が!」
 
(ザーーーーッ)
 
阿部「はい」
 
藤田「外は生憎の大雨!台風直撃!
   そしてこのインフルエンザ蔓延!
   今学校に来れたのはー…我々3名のみ!」
 
阿部「あのー…私…今年からの新人なんでよくわかんないんですけど…」
 
藤田「いや…それを言ったら僕だって…
   まだ3年目で今年初めて入学式の司会をする程度ってだけで…」
 
中田「…私に至っては用務員なんですけど…」
 
(ピシャーン!!)
 
藤田「…いや、まあ…『3人寄れば文殊の知恵』と言いますし…
   入学式は明日。今我々が決めなければ大変なことです!」
 
阿部「この学校どうなってるんですかね…
   前日まで何も決まっていないなんて…」
 
藤田「まあ…それを言っちゃあ…」
 
阿部「それにこの外の様子じゃ明日の入学式延期になるんじゃ…」
 
藤田「いや…そうかも知れないですけど…
   『備えあれば嬉しいな』って言うじゃないですか」
 
阿部「後半3文字入れ替わって何か暢気なことになってますけど…
   憂いなしでしょ?」
 
藤田「まあ…同じような意味でしょ?」
 
阿部「全然違いますけど…」
 
中田「………」
 
藤田「…と、と、とにかく、今から入学式の流れを作っていきましょう!」
 
阿部「でもまあ入学式なんて簡単でしょ!」
 
藤田「そうですね…そう…うん。
   ですから…まあ各々案を出し合って…」
 
阿部「まあ30分もすれば終わるでしょ?」
 
藤田「そうですね…まずは入場から…」
 
中田「あの…私…見回りの時間なんですけど…」
 
(ピシャーン!!)
 
(30分後)
 
藤田「お、思い出せない…入場の後…校長の挨拶…」
 
阿部「うーん…確かに…でもこんな感じなんじゃないですかね?」
 
中田「(ガラガラガラ…)見回り行って来ましたー…。異常無しです」
 
藤田「うちの校長話短いことで有名なんですよ…
   これじゃあ30分もかかりませんよ…」
 
阿部「うーん…」
 
藤田「これさあ…ちゃんと決めなかった人が悪いんだから
   適当に決めちゃえば良いんじゃないですか?!」
 
阿部「確かに…あたしたちがこんなに頑張る必要ないですよね?!」
 
中田「あのー…」
 
阿部「校長と教頭に思いっきり恥かいてもらいましょうよ!」
 
藤田「あ、校長と教頭にガチ相撲対決してもらいますか」
 
阿部「グラウンド土俵作って本気でね(笑)」
 
藤田「嫌だなー!50代のおっさんの本気の相撲!
   誰も見ないって(笑)」
 
阿部「勝った方に挨拶してもらいましょうよ!」
 
藤田「負けた方に…面白い話してもらって…」
 
中田「あのー…趣旨が…ね」
 
阿部「これで結構埋まるんじゃないですか?」
 
藤田「でもせいぜい粘って30分…あと15分ですね…」
 
中田「あのっ…!」
 
阿部「じゃあ…先週のドラえもん録画した奴あるんで…
   それ流しましょう!うん!」
 
藤田「よし!決定ー!!」
 
中田「あのっ!!」
 
藤田「あ、はい…すいません」
 
阿部「何か…熱くなっちゃって…」
 
中田「明日…私の孫が入学するんですよ…
   孫のためにも…まじめに…考えてもらえない…ですかね?」
 
藤田「……あ…そうだったんですか…」
 
阿部「…なんか…本当にすいません…」
 
中田「いや…良いんです。お二人も…そんな…ね。
   本当の当番じゃなくて面倒くさいって気持ちもわかりますから…」
 
阿部「いえ…私たちが悪いんであって…」
 
中田「いいんです。あ、そろそろまた見回りの時間なんで…
   行って来ますね」
 
(ピシャーン)
 
阿部「まじめに…」
 
藤田「考えますかぁ…」
 
(30分後)
 
中田「(ガラガラガラ)見回り終わりましたー…」
 
藤田「よし…じゃあー…入場の時に…
   あ、『出でよ新入生達よ!』みたいなコールしちゃいますか!」
 
中田「ぇえー……」
 
阿部「あ、それ良いですね!」
 
中田「ぇえー…………」
 
阿部「あ、でもそれよりも『さあ行け!新入生達よ!』
   みたいな方が良いんじゃないですか?!」
 
中田「せ、戦闘員じゃないんだから…」
 
藤田「で、在校生と対決してもらって!」
 
中田「気が気じゃないよ父兄が…」
 
阿部「一番最後まで立ってた奴が番長!みたいな!!」
 
中田「ちょっと!ちょっと!!」
 
藤田「あ!お帰りなさい!!」
 
中田「またお二人ともよくないハッスルして…
   どういう方向に進んでるんですか!」
 
阿部「とりあえず校舎を爆発させる所までは決まったんですけど…」
 
中田「駄目ですよ!二人で一体何を考えてるんですか!
   …新入生を手下にして学校乗っ取るつもりですか?!」
 
藤田「いや…そういうわけでは…すいません…」
 
中田「ちょっといくらなんでもふざけすぎでは…」
 
阿部「うーん…ビンゴ大会とか…しちゃいます?」
 
中田「なんでそうなるんですか!…行き先見失ってませんか?!」
 
藤田「そうですよね…何か…」
 
阿部「じゃあ入り口でアントニオ猪木に扮した教頭が
   新入生に1発ずつ闘魂を注入するって言うのは…」
 
中田「教頭全校生徒に嫌われること間違いなしじゃないですか!」
 
阿部「元気ですかー!とか言ってね(笑)」
 
藤田「自分糖尿のくせにね(笑)」
 
中田「あんた達どれだけ教頭嫌いなんですか!」
 
藤田「嫌いってわけでは…ねぇ?」
 
阿部「そうそう…私も新人だし…
   ただ初めて見た時からちょっとキモいなってだけで…」
 
中田「第一印象で嫌っちゃった!」
 
阿部「変な匂いもするし何かガソリン飲んでそう」
 
藤田「わかるわかるー(笑)」
 
中田「どういうことなの…この嫌われっぷりどういうことなの…」
 
藤田「最悪教頭自体に爆発してもらって…」
 
中田「それ死んで欲しいってことですよね?!
   即ち死んで欲しいってことですよね?!」
 
阿部「社会的に死んでもらうでもいい!」
 
中田「ダメだよ!ダメ絶対!
   もう教頭いじるのとか止めましょうよ…入学式ですよ…
   主役は新入生なんだから…」
 
藤田「あ、そうか…これ入学式なんだった…」
 
中田「忘れてたんですか…そりゃ新入生戦わせたりするわ…」
 
阿部「じゃあ入学式ってことを踏まえて…」
 
藤田「もう一度考えますか…」
 
中田「頼みますよ…もう…」
 
(ピシャーン)
 
(30分後)
 
中田「(ガラガラガラ)見回り終わりましたー…」
 
藤田「とりあえず新入生のことを楽しませる催しも必要じゃないですか?」
 
中田「よかった…ちゃんと考えてくれてるんだ…」
 
阿部「『それでは実は不合格だった生徒発表です』みたいな?!」
 
中田「ダメだよ!!ちょっとぉー!!」
 
藤田「んでその後『敗者復活!!ビンゴたいかーい!!!』」
 
中田「盛り上がれるか!何が敗者復活だよ!
   勝手にそんなこと出来るわけないでしょうが!」
 
藤田「あ、お帰りなさい!」
 
阿部「お帰りなさい!」
 
中田「ホントもう何なんですか…もう少し真面目に…」
 
藤田「いや、我々結構真面目に考えてはいるんですけど…
   もう15分がどうしても埋まらなくてですね…」
 
阿部「そうなんですよ…どうしてもね…」
 
中田「じゃあもう45分でいいんじゃないんですか?」
 
藤田「いやー…やっぱそういうわけには…」
 
中田「そういうところは真面目なんですね…」
 
阿部「…でも中田さんも偉いですよねー…用務員って…」
 
中田「いや…そんなことは…」
 
藤田「毎日毎日夜に一人で学校で見回り…
   頭が下がりますよ」
 
阿部「あ、じゃあ中田さんにもちょっとスポットライトを…」
 
中田「いやいやいやいや!そんな!恐れ多いですよ!」
 
藤田「そんなことありませんよ!
   中田さんもうちの学校を支えている一員じゃないですか!」
 
阿部「じゃあ…あ、ここを中田さんにやってもらうってのはどうですか?!」
 
藤田「あ、ここはいいですよ!ここにしましょう!」
 
中田「まあ私で良いのであれば力にはなりますが…一体何をすれば…」
 
藤田「えっと、ここなんですけど…
   『新入生控え室の映像を流す』って部分あるじゃないですか…」
 
阿部「ここで1番中田さんの気に触った生徒を
   3年間学校公認のいじめられっことして…」
 
中田「嫌ですよそんなの!私がいじめられちゃいますよ!」
 
阿部「でも用務員にスポットが…」
 
中田「当たらなくていいですよ!僕は裏方で十分ですから!」
 
藤田「じゃあやっぱこの役は教頭にやってもらうしか…」
 
中田「教頭嫌われすぎでしょ?!っていうかその項目自体なくせよ!
   そういう誰かが損する項目消せよ!」
 
阿部「そうするともう何も残りませんけど…」
 
中田「どうなってるんですかもう!!」
 
藤田「じゃあもうこれを使うしかないですね…
   さっき本当の当番だった主任の引き出しから出てきたんですけど…」
 
中田「なんですかこれ?」
 
阿部「去年のスケジュールです」
 
中田「最初っからそれ使えばいいじゃないですか!」
 
藤田「そうですね…もうこのまま行っちゃいましょうか…」
 
阿部「我々の個性は使えないですけどね…」
 
中田「別に変な個性出さなくていいんですよ!
   よかった…これで帰れますよ…雨も収まってきましたし…」
 
藤田「あー…よかった。あ、でもこれ…」
 
中田「どうしたんですか?」
 
藤田「この最後…」
 
『14:30 獰猛なバッファローを放し飼いにしたと同時に
     新入生一斉に退場(教頭は赤いスーツ着用)』
 
藤田「……」
 
阿部「……もう何でもいいか…」
 
中田「……うん」


〜採点結果〜

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