理系文系

コント/悪の組織・科学班



文「はかせー、コトワリはかせー」
理「どうしましたか? アヤ君」
文「はかせ、あの……コレ!」
理「…………またですか。藤岡弘なんて拾ってきて。ダメですよ」
文「えー、いいでしょー。ウチで飼いましょうよー、改造人間にしましょうよー」
理「ダーメーでーす。そんなこと言ってすぐ飽きてほったらかすんですから。どうせ改造手術も洗脳操作も実戦訓練のセッティングも結局全部、私がやるハメになるんですから」
文「今度はちゃんとあたしがめんどう見るからー。いいでしょー?」
理「なに言ってもダメです。大体これ以上、改造人間を養う余裕なんてウチにはありませんよ。この組織にいったいどれだけのショッカーがいると思ってるんですか? もう財政カツカツなんですから」
文「それはそうだけどさー……」
理「とにかくダメです。ショッカーならいくらでも可愛がっていいですから、それで我慢してください」
文「えー? ショッカー可愛くないじゃん! 鳴き声「イー」ばっかでつまんないじゃん!」
理「はいはい、ワガママ言わないでください」
文「…………どうせちゃんとしゃべれるような改造人間が作れないからそんなこと言うんだ」
理「……なんですって?」
文「だってそうじゃん! しゃべる機能付けられないんでしょ? だからはかせの作ったショッカーみんな「イー」しか言えないんだ! だっさーい!」
理「…………聞き捨てなりませんね。いいでしょう。そこまで言うならさっきの藤岡弘、しゃべれる改造人間にしてみせてあげようじゃないですか!」
文「え? 改造手術やるの?」
理「やって見せますよ! じゃあ改造手術の準備を始めてください」
文「了解ー♪ やったー♪ はいはい人体改造キット一式入りまーす♪」
理「さて、準備OK。この藤岡、捕まえた時点で麻酔は効いてるんですよね?」
文「うん。眠くなる香りのアロマテラピーを施しておいてあるよ」
理「ならこのまま始めちゃっていいですね。ではまず電源装置から取り付けましょうね」
文「おー!」
理「では太陽電池を背中にくっつけますよ。ソーラーパネルを用意して下さい」
文「さっすがはかせ、いま世間ではやりの「えこ」ってヤツだね」
理「フフフ、そうですよー。さて次は兵器の埋め込みをやりましょうか」
文「何入れます? 何入れます?」
理「刃物系や毒物系はこないだやったし、今回は火薬系がいいですかね」
文「せんせー、ロケットパンチは火薬には入りますかー?」
理「ロケットパンチか……、あんま使いたくないんですケドね……」
文「えー? いいじゃんロケットパンチ。かっこいいじゃん。アレ強いでしょー?」
理「確かに強いんですがね、コストパフォーマンスの方が悪いんですよ。手なんて結構精密に作んなきゃいけない部分を使い捨てにするワケですから」
文「むー……」
理「それにアレ、飛ばしたヤツは後で回収しなきゃいけないんですよ。めんどくさいコトに。こーゆー我々の技術を使ったモノを人間たちの世界に置いていっちゃうと、マッドサイエンティスト協会の方から怒られちゃうので」
文「鳥取にある、あの?」
理「そう。微妙な所に本部のある、あの」
文「そっか……。じゃあ、バーナーは?」
理「バーナーですか。確かにその手はありかもですね」
文「でしょ?」
理「あ、でもそれだと燃料タンク付けないとダメですね。いまウチにありましたっけね?」
文「え? タンク?」
理「ええ。アレが無いと火炎放射できませんから」
文「えー? タンク可愛くないじゃん! 付けなくてもいいでしょー?」
理「そんな無茶な」
文「だってこないだ人間達の街に襲撃に行った怪人のサラマンドラとかいうの、火使ってたケドそんなの付けてなかったじゃん! なんでさ!?」
理「アレはそもそも魔術班のトコの怪人さんでしょう? 我々科学班とは勝手が全然違うじゃないですか」
文「魔術班は出来るのになんでウチはできないのー? つまんない! 科学班つまんなーい!」
理「そんなこと言っても……」
文「魔術班はみんなキレイな色の光線とか派手な爆発とかいっぱいできるのに! 科学班は鉄の塊と気持ち悪い細胞とばっか! あたしも魔術班の方が良かった!」
理「…………そんなに言うならじゃあ魔術班のトコの子になればいいでしょ!!」
文「っ!!」
理「もう知りません! あーあ、こんなワガママな助手ゴーレムなんて作るんじゃありませんでした! こんな娘の製作に博士自慢の生体工学なんてフル活用しするんじゃありませんでした! もうアナタなんて勝手にどこへでも行って、好きなコトやればいいじゃないですか?」
文「…………はかせぇ、……あの」
理「なんですか? ああ、魔術班のアヤさんじゃないですか? こんなグロ細胞と鉄臭い空気にまみれた科学班なんかにわざわざ何の御用ですか?」
文「あの……。ううぅ…………、うぐ、ひっく。はがぜぇ〜」
理「………………泣いたって知りませんからね」
文「うっぐ、はがぜ〜、がいぞうしゅじゅづは〜?」
理「……………………魔術班の人たちにでも手伝ってもらえばいいじゃないですか」
文「ひっぐ、はかせぇ、あやまるからぁ……。怒んないでぇ……」
理「…………」
文「ちゃんといい子にするからぁ。AB型の人間の血も好き嫌いせずちゃんと飲むからぁ。もう勝手にはかせのケミカルXに墨汁混ぜたりしないからぁ。だから…………、あたしを嫌いにならないで…………。ココに居させて……」
理「…………嫌いになるワケ、無いじゃないですか」
文「はかせ……!」
理「アナタは私が唯一改造ではなく、一から作り上げた最高傑作なんですから。ほんのちっちゃなただのカオスエネルギーだった頃から、エクトプラズム電気回路と特殊アストラルバイオ細胞を何年もかけて組み込んでやっとの思いで作り上げた、私の全てをつぎ込んだ最愛の機体なんですから!」
文「はかせ!!」
理「アヤ君!!」
文「あたし科学班に居たい!」
理「当たり前です! どこにもやりません!」
文「霊子ガス漏れでいつも変な臭いするし、ゴハンも実験生物から切り取った残りモノばっかだケド、はかせが居るからあたし科学班の方が好きだもん! ずっとココにいるもん!」
理「よし! 分かりました! アヤ君は未来永劫ウチの可愛いゴーレムです!」
文「うん!」
理「じゃあ今日は博士、張り切ってアヤ君の好きなニトロオレンジのケーキ作っちゃいますよ!」
文「ホント?」 
理「本当ですとも! 博士頑張っちゃいます!」
文「やった! ドクターペッパーも付けてね!」
理「モチロンですよ〜♪」
文「いえ〜い♪」
理「さぁ、では早速ベランダのバイオテクノ家庭菜園に材料を採りに行きましょうか」
文「イヤだなぁはかせぇ、それよりもまず目の前の改造手術終わらせちゃわないと」
理「おっとそうでした。博士としたコトがうっかりうっかり」
文「もう、はかせったらぁ。…………って、アレ? そーいえば藤岡弘は?」
理「え? …………アレ? そーいえばいつの間にか居ませんね?」
文「どっか行っちゃったのかなぁ?」
理「そーですねぇ…………、まぁ今はいいです。取り敢えず先にアヤ君との仲直りクッキングタイムが先決ですよ」
文「そーだね!」
理「じゃあ始めますよ?」
文「うん!
 



彼女達はまだ知らない。
自分達が喧嘩したり仲直りしている間に脱走した一人の男が、組織の他の構成員をすべて倒していたコトを。
彼が二人のあまりになんだかよく分からない姿を見て始末するかどうか悩み、ついに手を下せずに去って行ったコトを……。
そして、始末しないにしろ何らかの報復はやはり受けるべきではないかと思い直した彼が、冷蔵庫のドクターペッパーをものすごい勢いで上下に振ってから去って行ったコトを…………。


 

〜採点結果〜

最高 最低 標準偏差 お気に入り 採点人数 平均
83 24 19.48
★★★★★
11名 58.36



〜詳細〜


★=お気に入り
100  
   
   
90  
   
  82★(きょくにゃん)・83★(旅人)
80  
   
  72★(kenzip)
70  
  67(井島)・68(ほしの)
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60 60(哲夫)
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50  
   
   
40 40(ステーヴンV世)
   
   
30  
   
  24(ザブマリン)・25★(ゆ)
20  
   
   
10  
   
   
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